真に受けてはいかない中学生の発言があります。
それは「勉強の仕方がわからない」です。
そのセリフを聞いた親はこう返します。
「じゃ、学校の先生や塾の先生に相談しなさい」と。
でもそれは悪手です。
まず何故そのセリフを言うかを考えましょう。
ずばり「今は勉強したくないから」です。
先延ばしにしたいのです。
そのための猶予期間を生む方法が「勉強の仕方がわからないと発言すること」なのです。
先程述べたように、それを言われた親は「先生に聞きなさい」と言います。
つまりこれは「先生に聞いてから、勉強しなさい」ということになります。
よって「今すぐには勉強しなくていい」というメッセージとして伝わってしまうのです。
それに、そもそも先生は勉強の仕方を提示しているはずです。
学校の先生であれば自学ノートの使い方など細かく指示しているでしょう。
塾の先生でもどのテキストをどんなふうにやればいいかの指示も出ているはずです。
そのときは勉強する意識が低かったので、右から左へ聞き流していた可能性が大きいです。
「わからないからやらない」では将来に不安を残します。
新入社員となり上司に仕事を頼まれたとしましょう。
「わからないから、やりませんでした」という言い訳が通用すると思いますか?
新入社員はわからないことだらけなんだから、それを見越して上司が丁寧に指示を出すことももちろん必要です。
だからといって「あなたの指示がないので、わかりませんでした。だからやりませんでした」と言うわけにもいかないのです。
上司は上司で反省すべきところはありますが、新入社員は新入社員なりに反省すべきところがあります。
次に「わからないなら聞く」という段階になったとしましょう。
ここでもまた罠があります。
聞き方次第で仕事のできる人、できない人がはっきりします。
「この仕事のやり方、わからないので教えてください」
この聞き方は駄目です。
丁寧語を使っているからOKとか、そういったことではありません。
1~10まで教えてもらおうとしている姿勢が駄目なのです。
では同じシーンで、仕事のできる新入社員だったらどう言うか。
「この仕事のやり方がよくわからなかったので、こうやってやってみましたがどうでしょうか?」
です。
わからないながらも自分で考え、やってみたということが読み取れます。
褒められるべきはこの姿勢です。
中学生に当てはめると「このような勉強法でやってみたけれど、これで合ってますか?」が正解です。
この質問をされると「お、この子はちゃんと自分で考えて勉強してるんだな」と思います。
さらには改善案を模索する姿が見られるので「この子は伸びる」と思います。
質問一つに、その質問者の力量が表れます。
我が子が「勉強の仕方がわからない」と言ったときは要注意です。
そのときは「分からないから教えて」ではなく、「実際に自分なりに考えてやってみた後に『このような勉強法でやってみたけれど、これで合ってますか?』と先生に聞きなさい」と伝えてください。