日本で上映された千と千尋の神隠しと、海外のそれはラストがちょっと違うらしいです。
海外版には後日談というか、ちょっと付け足したセリフがあるそうです。
トンネルを抜けた不思議の街でいろんなことを体験して一回り成長して帰ってきた千尋。
日本人はその成長をきちんと感じ取っています。
でも、外国人にとってそれが難しいらしいのです。
日本語はハイコンテクストだと言われます。
ハイコンテクストとはコミュニケーションの背景や文脈の共有されている割合が高い状態のことです。
もう少し簡単に言うと「共通認識があるため、言語化しなくてもわかる」ということです。
もっと簡単に言えば「言わなくてもわかるだろ?」という阿吽の呼吸みたいなものがあるということです。
例えば、大学生くらいのカップルがいるとします。
彼氏が彼女の家に「行っても良い?」と聞きます。
すると彼女が「今日は母親が家にいるから」と答えます。
このとき、彼氏は「あ、今日は行っちゃ駄目なんだな」と悟れるのが日本人。
外国人は「は?今日母親が家にいるから何?あなたと関係あるの?」となってしまうそうです。
日本人は「言わなくてもわかる」
外国人は「言わなきゃわからない」
外国人が良く配偶者に”I love you.”という言葉をかけるのもそういう理由があるそうです。
逆に日本人は「『愛してる』と言葉にしなくてもわかっているでしょ?」という感じです。
優劣の話ではなく、特徴の話です。
そんな言葉や文化の違いがあるため、誤解を避けるために千と千尋の神隠しでも、ラストシーンにセリフが追加されたようです。
お母さんが「新しい引越し先、ちょっと怖いね」と言い、それに対し千尋が「私なら大丈夫よ」というやりとりがあるそうです。
千尋が成長したということを強調するようなセリフですね。
「行間を読む」とも言うこの能力、多くの日本人が持っていますが、中にはそれが苦手な人もいるようです。
例えば旦那さんが奥さんに「今日、残業で遅くなるから」と言ったとします。
一般的には「残業で遅くなるってことは、夕食は家では食べないってことね」と受け取るところで、行間を読むのが苦手な人は「え?遅くなるから何?私はどうしたらいいの?」となってしまうそうです。
ハイコンテクストが良いのか悪いのかはよくわかりませんが、そういう考え方、捉え方があるんだなと知っておけば、ちょっと優しくなれそうですね。