今まで野球をやってた人がゴルフをやると、最初はそのフォームが窮屈に感じるでしょう。
でも、野球のスイングだと、ゴルフボールは全然飛ばないのです。
ゴルフにはゴルフのスイングがあります。
人それぞれ個性はあるものの「遠くに飛ばす」という目的を達成するためには、似たようなフォームになっていきます。
物事には理想の形があって、それに近づくようになっているんじゃないかと、考える今日このごろです。
一つの授業で、生徒たちが問題を解く様子を眺めていると、小さな差に気づきます。
それは何かと言うと「悩む時間の差」です。
問題には大きく二種類あって、一つは「考えれば分かる問題」、もう一つは「考えても分からない問題」です。
「考えても分からない問題」というのは一問一答のようなもので「用語を覚えていない」ゆえに分からない問題のことです。
これはいくら考えたって、答えられません。
覚えていないのですから。
突然の問題ですが、古文の単語の「やんごとなし」という意味を覚えていますか?
誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。
スタジオジブリの映画「もののけ姫」でも、出てきます。
ジコ坊がエボシに「やんごとなき方々や、師匠連の考えはわしにはわからん。わからんほうがいい。」と言います。
「やんごとなし」とはどんな意味でしょう。
ジコ坊のセリフから推測するのも良いでしょう。
思い出せないから、飛ばすのもいいでしょう。
人に聞いてはいけないテスト中に、この言葉に出会ったら、どうしますか?
問題を見て答えがぱっと思い浮かばないとき。
ある子は1秒で次の問題に行きます。
ある子は10秒で次の問題に行きます。
ある子は30秒で次の問題に行きます。
この「次の問題に行くまでの時間」つまり「悩む(考える)時間」にも、ゴルフのスイングフォームのような理想の形があるのではないかと思います。
悩む時間を0~10とします。
0 NG。悩まなすぎ。きちんと頭を使いましょう。
1 NG。悩み足りない。もうちょっと考えれば思い出せたかもしれません。
2 OK
3 OK
4 ギリギリOK。もうちょっと早めに判断できるように。
5~10 NG。判断に時間がかかりすぎ。
「考えても分からない問題」ひとつにじーっと30秒も時間をかけてはいけません。
いくら時間をかけたって、覚えていないものは思い出せません。
ど忘れしただけだとしても、思い出そうとする作業に30秒もかけたら判断が遅すぎます。
会話をしているときに突然30秒黙ってしまう人がいたら、その人とは会話が続きませんよね。
コミュニケーションを円滑にするためにも、瞬時の判断は出来たほうが良いはずです。
でも勉強となると、一つの問題に30秒も40秒もかけてしまう……。
これは「勉強をしているふりをしたい」「考えるのは疲れるから、この問題で休もう」という思惑が透けて見えます。
プリントの進み具合を見ても、成績上位者の方が早い傾向があります。
よい成績をとれない子ほど、ダラダラと長い時間やってしまうでしょう。
「疲れるとしても、一気に脳をフル回転させて、早めに終わらせてしまった方が楽」と考えるのか
「疲れるから、脳をあまり使わずに、のんびりやる方が楽」と考えるのか。
成績上位者の頭の中は前者が多いように感じます。
突き詰めていくと、上位者かそうではないかは、「考え方」の時点で違っていると思います。
勉強の理想形であれば、上位者の考えのほうが良いです。
実際、結果が出ているのですから。
上位に食い込もうと思っている人は、頭の中から変えていきましょう!