上達の近道は「素直になること」です。
コーチが言ったトレーニングを素直にこなす選手と「いや、その練習は必要ない」と言って独自のトレーニングをする選手では、前者の方が伸びるでしょう。
ある程度実力がついてきたら、自分で練習メニューを考える方がよくなるかもしれません。
でも、最初の頃は素直さがあった方が伸びが早いです。
数日前の話です。
2年生に理科のプリントを解かせていました。
すると、Mくんはさらりと解答していました。
「あれ?なんでそんなに出来るの?もう学校で習った?」
と聞くと「まだ習ってません」とMくん。
「じゃあ、なんでその問題解けたの?」
「先週、先生が言ってた呪文で……」
その一週間前、確かに私は言いました。
「デンプンは、だ液・すい液・腸液に溶かされブドウ糖になる。これを『デンだすいちょうブドウ糖』と唱えて覚えちゃうといい」と。
他にも「タンいすいちょうアミノ酸」「脂肪たんすいモノグリセリド」という呪文があります。
それらを覚えてしまうと、いとも簡単に問題が解けるので、この単元の授業をするときはいつもそう伝えています。
でも、その時一度言っただけです。
一度だけ言われたことを実行できる中学生はそうそういません。
「覚えておけ」「はい、わかりました」というやりとりをしても、実際には1時間後には忘れてきて、1日後には完全に忘れてしまうのが関の山です。
それをわかっているから、毎回の授業で「覚えなさい」というわけです。
このように、「3回4回言ってようやく覚えるのが一般的」というイメージがあるため、一度言っただけで素直に覚えていたMくんが非常に優れて見えるのです。
「え。本当に覚えたの?!」と言ってしまいました。
Mくんは上位層。
流石に、普段の姿勢から違うのかもしれないなと感じた一幕でした。