AさんとBさんが喧嘩したとき、Aさんからの話を聞けばAさんが正しいように感じます。
でもBさんから話を聞くとBさんが正しいように感じます。
片方だけの意見を鵜呑みにしてはいけないということです。
AさんもBさんも、自分は正しいと主張する。
これは、人は誰でも「自分を守りたい」という欲求があるから。
話を聞いてくれる人を味方にすることで、自分を守りたいから、どうしても自分の正しさをアピールしてしまいます。
これはこんな些細な喧嘩だけでなく、もっと大きな話でも同じです。
戦争だって「自分たちは正しい」と主張して、戦争する大義名分を掲げ、周りの国々に協力を要請したりします。
A国がB国に侵攻してB国を滅ぼしました。
A国の歴史書には「B国が侵攻してきたから、やむを得ず交戦し、B国を滅ぼした」とか「B国が核兵器を使って世界を滅亡させようとしていたから、そうなる前にB国を滅ぼした」といったように書かれるでしょう。
死人に口無し。
歴史書は勝った側のものしか残らず、勝った側が書いた歴史書が「歴史」として残っていきます。
現代のようにSNSでもあれば、勝った側の言い分が偽りだったとしたら、それを偽りだと言えますが、そんなものがない時代は勝った側の言い分しか確かめようがありません。
Amazonのレビューに星が5個ついているものばかりだと、これはやらせかと疑います。
勝った側の言い分だけのように感じ、そこには不都合な真実や偽りがあるのではないかと勘ぐってしまいます。
逆に、星が1つや2つの辛口コメントがあると、真実味が増します。
たまに逆恨みみたいなのもあるな
基本的に人間は自分をよく見せようとする生き物です。
失敗より成功の方を語りたいでしょう。
でも、そこで失敗を語れる人がいたら、すごいと思います。
その人の言っていることは真実だと思わせる魔力があります。
「しくじり先生」がいい例
徳川家康が凄いのも、そこじゃないかと思います。
家康は、武田信玄に攻められた時に敗戦し、死にものぐるいで逃げてきたということがありました。
三方ヶ原の合戦という合戦です。
聞いたことない
中学の教科書にはまず出てこないからね
その時の情けない様子を絵師に描かせ、それを戒めとしてずっと持っていたという逸話が残っています。
「しかみ像」という名で知られ、その絵も残っています。
普通は自分のかっこいいところを描かせるものですが、情けない姿を描かせるあたりが只者ではないと感じさせます。
いいとこばかりを見せられても信じられませんが、悪いところを混ぜて見せられるとそこに真実があると思ってしまいます。
信じてほしければ、自分に都合の良いことばかりではなく、都合の悪いことも織り交ぜて言うようにしましょう。
この記事を書くにあたり、徳川家康のしかみ像について調べてみたら「後世のつくりものであって、事実ではない」といったものも見つかりました……。
まあ、でも、家康という人柄なら「そういうことも有り得る」ということで、逸話が残っていると思うので、その辺は目をつぶっておきましょう……。