授業を通して伝えたいのは「考え方」です。
どういうふうに考えて答えを導き出しているか。
「テストで時間が足りない」という声をよく聞きます。
いくつか理由が考えられます。
1つ目は「単純に文章を読むスピードが遅い」ということ。
これは普段からいかに活字に慣れているかがものを言います。
読書が好きな人は国語の文章を読むのが早いですからね。
かといって、入試まであと23日の今、読書を楽しんでいる余裕はありません。
受験生はひたすら過去問と対峙して早く読む訓練を積まないければいけません。
2つ目は「知識が曖昧で、引っ張り出すのに時間がかかる」ということです。
例えば8×9なら72と即座に出ますね。
考えるまでもなく一瞬で答えられるはずです。
それが「ルート12」だったら…「2ルート3」と即座に答えられる子も今になるとたくさんいます。
でも、それが即座にできない人は「ルート12……なんだっけ」と言いながら、すだれ算をして答えを求めます。
暗算でぱぱっと答えを出す人と、筆算しなければ答えを出せない人の差は思いの外大きいものです。
さらに「あれ?日中戦争っていつ頃だっけ……満州事変は……?」といった具合に、即座に答えが出ない語句は思い出そうと頭の中をぐるぐるとかき混ぜます。
その時間がすでにロスタイムになっています。
そして3つ目は「解き方」です。
顕著に現れるのが数学です。
部分点がある問題なら、とりあえず分かる部分は書くというのはアリです。
でも、答えを導かないといけない問題なら、途中まで書いても答えが合っていなければバツです。
それでも、空白にするわけにもいかないから、何かしら考えてみて……とやって時間がなくなってしまうというパターンが多いようです。
私はというと、問題を見たらまず解き方を考えます。
「図形の問題なら補助線が必要か、必要であればどこに引くか」「どの平面を切り抜けば答えが出せるか」
そういったこと考えています。
思考回路は常に「逆算」なのです。
線分APの長さを求める問題なら、図形を見て「三角形APCの面積が必要だな。そのためにはCの位置をはっきりさせないと。Cは四角形BDFGの中に入っているから……」と逆算していきます。
その逆算ができる問題はチャレンジする価値あり。
全く思いつかない場合は飛ばします。
手当たり次第問題を解く、とりあえず手を出してみる、という方法でも手を動かしているうちに正答までの道のりが見えてくることもあります。
が、私の場合はそれは稀です。
なので、最初に解き方が思いつくならチャレンジする、思いつかないなら飛ばすということをします。
そうすることで、時間に余裕が生まれ、最後に余った時間でじっくりその問題を考えるということができます。
この「解き方」を教えているのが集団授業です。
補助線の引き方も、慣れが必要です。
平面図形を抜き出すのも、同じく慣れが必要です。
慣れるためには場数を踏むこと。
もう何度も集団授業を受けている人は「あー、これ前にもやったなぁ」という感覚がわかってきたころでしょう。
テスト後の解き直しで「実はこの解き方でいけたよ」と教えたとき、「その解き方は思いついてたんですけど、途中の計算で…」という声がありました。
それはグッジョブです。
計算でミスは次回取り返せます。
今までは解き方すら思い浮かばなかったのが、解き方が思いつくようになったのです。
こういった点を見ても、あきらかに成長しているということがわかります。
「解き方は思いついたんですけど」という段階に来るまで、集団授業では時期を空けて3,4回教えてます。
それくらい繰り返さないと実践で使えないということですね。
でも、これからはもう「あ、それは知ってる」という解き方がたくさんでてくるはず。
楽しみながら問題を解きましょう。