好奇心をはかる問題

高校側は勉強が好きな子に入学してもらいたいと思っていることでしょう。

では、どうやって勉強が好きな子かどうかを判別するかと言えばもちろん得点です。

得点が高い子は勉強好き、得点が低い子はそうではない。

これは確率です。

中には勉強は好きではないけど得点が高い子だっているかもしれません。

野球が上手いからプロ野球選手になったけど、別に野球は好きじゃないという選手がいたって不思議ではありません。

でもそういうパターンはかなり稀だと思います。

野球は好きだけどうまくない。

勉強は好きだけど得点は低い。

という例なら結構ありそうですけれど。

勉強が好きかどうかを測るのにうってつけの問題があります。

それが

凸レンズで焦点を通らない光はどう進む?

という問題です。

凸レンズの問題はたいてい

光軸に対して平行に進む光はどう進む?→焦点を通る

凸レンズの中心を通る光はどう進む?→直進する

この2問です。

平行と言えば焦点。

焦点と言えば平行。

中心を撃ち抜いたらそのまま直進。

これさえ覚えておけば得点できるラッキー問題です。

たいていの子はこの知識を得たら次のステージに行きます。

でも、勉強好きな子はここで疑問に思うでしょう。

平行ではなく、中心を通らない光はどう進むだろう……?

友人Y

あー。言われてみれば、どうなんだろう

無数に広がる光の中で、「凸レンズの中心を通る光」や「光軸に平行に進む光」というのは稀な光です。

大抵は、それ以外なのです。

でも、それ以外はほとんど意識されません。

虫眼鏡で光を集められることは誰でも知っているでしょう。

それで集めた光で紙を燃やしたりして遊んだと思います。

友人Y

黒く塗ると早く燃えるやつね

虫眼鏡で光を一点に集めることができるというのは皆が持っている知識です。

では、その一点に集まった光の周りはどうなっているでしょうか?

友人Y

暗くなってる?

SHIMIZU

ではそれはどれくらいの暗さ?

友人Y

集中した一点より暗い

SHIMIZU

そりゃそうでしょ

光が一点に集中するということは、本来虫眼鏡がなければ光が当たっていた場所も光が当たらなくなるということ。

つまりは影と同じ暗さになります。

一点に光を持っていかれてしまっているので、その一点以外は光が当たっていないのと同じなのです。

先生は「Aの場合はBになりますよ」と教えるわけですが、その時「じゃあ、Aじゃない場合は、どうなるの?」と考える子が、勉強好きに多い気がします。

このやりとりを家庭レベルでやると「言い返してくる面倒くさい子」というふうに映るかもしれません。

教えられたことを素直に受け取らない、ひねくれた子というレッテルを貼られるかも知れません。

でも勉強面ではこういう思考は大歓迎です。

実際に、入試問題に「光軸に対して平行でない光が凸レンズに当たった後、どうなる?」という問題が出題されています。

こうやって受験生の思考回路を探っているのです。

言われたままを頭に入れているだけでは駄目だと言われる時代がもう訪れています。

自分で考えようとする心を育てたいものです。

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この記事を書いた人

学習塾Lilyの講師。筑西市出身。
「いかにわかりやすく教えるか」を追求することを好むが、教えすぎない指導を心がけている。

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