何年前のことだか忘れましたが、当時の同僚が「中学英語はつまらない」と言っていました。
10年以上前のことかも……20年まではいってないと思いたい…
光陰矢の如し
「つまらない」の理由は簡単すぎるからです。
「中学英語は簡単すぎて教えるのがつまらない」と言っていたのです。
その同僚いわく「中学英語は論理的に説明するというより、”そういうものだから”って教えるしかない」と。
言わんとしていることはわかります。
I go to school.を過去の文にすると I went to school.ですが、「なんでgoがwentになるんですか?」と聞かれても「そういうものだから」としか言えません。
日本語で「行く」を過去形にすると「行った」になりますが、そこで「なんで」と聞かれても「そういうものだから」としか答えられませんよね。
日本語には活用というものがあってだな……
じゃ、なんで「た」がつくと過去の意味になる?行った、食べた、起きた…
そういうものだから
言語を完全に論理的に説明するのは難しいです。
実際は変ではないけれど、慣例として変みたいなのがたくさんあります。
例えば?
例えば、日本語の1人称はたくさんあります。
1人称とは自分を呼ぶときの呼び方ね
「ぼく」「わたし」「おれ」「わし」「おいら」「それがし」……
すべて1人称なので、誰が言っても文法的には問題ないはずです。
現に「わたし」は女の子だけではなく、サラリーマンだって使います。
「わたし」は本を読んだ。
この文章で、1人称を変えても文法的にはまったく問題ありません。
「ぼく」は本を読んだ。「わし」は本を読んだ。
なんだっていいはずです。
でも、女の子が「わしは本を読んだ」と言ったら、違和感があるでしょう。
文法的には間違っていなくとも、慣例として「女の子は1人称に”わし”を使わない」というのがあるわけです。
「なんで女の子が”わし”と言っては駄目なのですか?」と日本語を習う外国人に聞かれたら、どう答えますか?
そういうものだから!
文法的には間違っていないけれど、一般的にそういう使われ方はしないのです。
なんで使われないかというと……
そういうものだから!
結局、「そういうものだから」と押し通すしかありません。
この辺はたしかに教えるのが難しいところです。
「そういうものだから覚えて」って言うだけじゃん
そういうところが「つまらない」と言っていたんだろうね、同僚は
それに比べて数学は、中学生で習う範囲の公式を全て覚えていたって解けないこともあります。
時間をかけたり、解き方を問わなければ(中学生では習わない解き方を使えば)解けたりしますけれど、制限時間内に中学生と同じ武器しか使わずに解くとなると、とても難しい問題が結構あります。
私立入試はもう1ヶ月もない今の数学の問題は、そんな難問がごろごろしています。
教えるのにも一苦労で、一問の解説に10分使ったり、もっと前の段階から説明したりと、あの手この手を使って解説します。
難問の解説は非常に骨が折れるのです。
だが、それがいい。
数学の楽しさってこういうところにあるんじゃないかなと思います。
今日も中3Aクラスは数学の難問解説。
楽しい授業でした。
ただ、私は中学英語を教えるのも好きです。
同僚ほど英語に精通していないというか、中学生よりちょっと出来る程度の英語力なので、「簡単すぎる」なんて言えないからかもしれませんね。
中2後半から英語も難しくなってくるので、教えるのも楽しいと感じています。
……やっぱり、楽しむには多少の難しさは必要なのかも知れませんね。
簡単すぎると楽しくない。
難しい方が楽しい。
ゲームでも勉強でも、何にでも当てはまる法則かもしれません。