「立場が人を作る」という言葉があります。
これを中学生に置き換えると「志望校が成績を作る」となると私は思っています。
第一志望が偏差値60の高校であればそれに見合った勉強をするし、
第一志望が偏差値40の高校であればそれに見合った勉強をします。
そして、最初は見合わなくても、最後には辻褄を合わせてきます。
現在の偏差値が40だとして、志望校偏差値が50だとしましょう。
そうすると中3の2月には偏差値が50程度になっています。
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努力したってことね
現在の偏差値が60だとして、志望校偏差値が50だとしましょう。
そうすると中3の2月には偏差値が50程度になっています。
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サボったってことね
でも、きっと本人はさぼったなんて思っていません。
というかサボっていません。
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じゃあなんで成績が下がっちゃうのさ
それは人間の本能だからです。
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なぬ?!
ちょっと例え話をしてみましょう。
8時30分ぴったりに正門が閉まる学校があります。
正門が閉まる前に入ればOK。
正門が閉まった後、別の門から入ってきたら遅刻となります。
現在8時27分。門限まであと3分です。
残る距離は300m。遅刻したくないあなたは全速力で走ります。
これが普通ですよね?
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そりゃそうだ
では現在8時27分で門限まであと3分というという同じ状況で、残りが30mだったら走りますか?
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走らない
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なんで?
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その距離なら走らなくても間に合うから
やはり、走らないという選択をするのも普通の反応です。
ここで考えてみましょう。
「人はなぜ”間に合う”と思ったら、足を緩めてしまうのか」
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緩めないと疲れちゃうじゃん
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しかも間に合うのに全速力で駆け抜けても意味ないし
まさにそれです。
人間は、できる限り力を温存しておこうとする生き物なのです。
「生き残る」という観点からみたら、全速力で走ることは危険な行為です。
もちろん、なにかに襲われたら全速力で逃げなくてはいけません。
でも、もう大丈夫だろうというところまで来ても、まだ全速力で走ったら……?
そこで力を使い切ってしまい、ぜぇぜぇはぁはぁしているときに、別の何かに襲われたら、もう逃げられません。
力を出し切るということは、死と隣合わせです。
そんなことが本能にインプットされているので「余裕ができたら力を緩めないといけない」ということも体に染み込んでいるのです。
門限まであと3分で、残りは30m。歩いても間に合う。
そんなときはほぼ全員が歩きます。
そこで歩かずに、全速力で走り切る人は、周りの人にぶつかって危ないです。
これが、中学生の受験においても同じことが言えます。
「もう大丈夫」というところまで来ると、必ず力を緩めます。
そうすると、最初は偏差値が60あっても、志望校偏差値の50に近づいていくのです。
レベルの高い高校でぶら下がるより、レベルを下げた高校でトップをとることの是非
志望校の話をすると、毎年必ず
「レベルの高い高校の下の方にいるより、レベルを下げた高校で上にいたほうがいい」と言う人が現れます。
ちなみに私は、この考えは賛成です。
※以下、偏差値を( )で表します。
一高(60)で下の方の250位にいる子と、二高(50)で1位の子では、二高生の方が偏差値の高い大学に行くということはよくあります。
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指定校推薦なんかもあるしね
ということで、大学を視野に入れるのであれば、そういった選択をするのも悪くありません。
悪くありませんが、おすすめはしません。
いくつか理由はありますが、今回は前述した「余力は残す」という点で書いてみましょう。
だいたいこの台詞を言うのは偏差値55前後の生徒です。
頑張れば一高(60)に行ける、二高(50)なら普通に合格できる、という状況の生徒です。
偏差値62の子はそういうことを言いません。
なぜなら一高(60)にも行ける位置にいるので、二高(50)の可能性を考える必要がないのです。
さて、この台詞ですが、あまりおすすめしない理由は
「偏差値の低い方で良い」と考えた瞬間、勉強する意欲は半減するから
です。
「偏差値の低い高校で上位にいる」と言いつつも「上位に」の部分が抜け落ちてしまうことがほとんどです。
いくら二高(50)とは言え、上位にいるのは大変です。
ましてや1位なんてそうそう取れません。
1位をとるのは、もっと上の高校を目指していたけれど、何らかの理由で二高にした生徒でしょう。
毎年、受験の結果を見ると偏差値60を超えている二高(50)合格者は何人もいます。
受験すれば一高も受かったであろう偏差値57以上の生徒まで含めると、20人以上います。
その中で1位を取るというのであれば、受験時点で偏差値63くらいの学力になっていないといけません。
その学力になるまで、全速力で走れるでしょうか?
志望校を二高(50)と言っていたら、まず無理でしょう。
偏差値63の人は、偏差値65以上を目指して頑張ってきて、ようやく偏差値63まで来たのです。
1位をとるということをこの辺の高校でいうと、水戸二高(65)を目指してきてそれにギリギリ合格できるかという学力になったけれど、結局下館二高(50)を受けるという感じです。
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水戸二高(65)って”この辺”じゃないけど……
下館工業(44)で1位を取るなら、下館二高(50)どころか下館一高(58)に入れる学力以上をとらないといけません。
小山高専(62)に残念ながら落ちてしまった子が下館工業を受けることだってあるくらいです。
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小山高専→下館一高のが多いと思うけどね
つまり「その高校で1位をとりたければ、その2ランク上の高校に合格できる学力をつけなさい」ということになります。
下館二高(50)で1位を目指すというのであれば水戸二高(65)に
下館工業(44)で1位を目指すというのであれば下館一高(58)に
合格できるくらいにならないといけません。
そして比べてみてください。
「目指すは水戸二高(65)です」
「目指すは下館一高(58)です」
「目指すは下館二高(50)のトップ合格です」
「目指すは下館工業(44)のトップ合格です」
トップ合格と言っても、偏差値いくつでそれに当たるかわかりませんよね。
なので、どうしてもその前の偏差値に意識が行ってしまうのです。
そして、その偏差値に意識が行くと、それに近づいたり超えたりした時に、必ずペースが落ちます。
結局、その偏差値に向かって行きます。
だから、それぞれの高校で1位合格というのはあくまで結果論であって、志望校を掲げるならできるだけ上の高校にしたほうが良いのです。
「偏差値60まで上がって、このままなら下館一高にも十分合格できるけれど、下館工業にして、そこで1位合格だった」というのならOKです。
そうでなくて、最初から1位狙いは難しいというお話です。
でも偏差値60まで上がったら、下館工業じゃなくて下館一高や下館二高に進学することになるのが多いでしょう。
なので、最初から下館工業の1位狙いで偏差値を60まで上げるというのは、なかなかに厳しいと思います。
よって私からは
最初から”1位”や”上位”にいることを狙わない。
1ランク、2ランク上の志望校を目指して、直前に変えた方が良い結果につながる。
よって、志望校は高く掲げ続けるべし!!!
ということを伝えておきたいと思います。