中学生がよく混同するのが「壬申の乱」と「応仁の乱」です。
戦国時代が好きな人にとっては応仁の乱はよく知っているでしょう。
でも、歴史に興味がない人にとっては、どちらも似ている気がして、迷ってしまうのです。
元号はだいたい漢字二文字で形成されていますが、それがいつ頃かピンと来ません。
壬申は元号ではなく、十二支ですけど
令和、昭和、明治、平成、大正を古い順に並べ替えなさい。
という問題なら、大人なら簡単にできると思います。
自分が生きている時代や、それに近い時代の元号だからです。
では、これならどうでしょう。
大化、慶応、貞永、天平、文政、文化を古い順に並べなさい。
さっぱりわからん
元号に法則がないため、正しく並べかるのは至難の業です。
文化って元号なの?
そうだよ
文政なんて聞いたことない
江戸時代の文化といえば「元禄文化」ともう一つは何だ?
化政文化
それそれ
どれどれ?
文化・文政の時代に流行したから「化政文化」というのです。
ほえー
じゃあ、文化の時代だけに流行ったのなら「文化文化」ってなるのか?
さぁ……。貞永(じょうえい)は「貞永式目」って聞いたことない?
かすかにあるかも
御成敗式目のことだよ
ふーん。じゃ「慶応」はいつの時代?
明治の前
それは知らなかった
学生時代以降、歴史の勉強をしていない人でも「大化の改新」の大化くらいは覚えていると思いますが、それ以外はわかりませんよね、たぶん。
かくいう私も、壬申の乱と応仁の乱には悩まされ、心が乱されたものです。
乱だけに
別にうまくないよ
こんな風に、時代はまったく違うのに、なんとなく似たように思えてしまうというものがいくつもあります。
「御成敗式目」と「武家諸法度」と「公事方御定書」
「御成敗式目」と「武家諸法度」と「公事方御定書」の3つは(どれも何かのルールを決めたやつだよなぁ)と漠然と覚えている人が間違えます。
内容までしっかり連想できないと区別できません。
「成敗」や「法度」の意味がわかっていると、連想しやすくなります。
「成敗」は、時代劇などで「この盗人め、成敗してくれるわ!」なんていうセリフを聞いたことがある人もいるでしょう。
おいらはこれ。おじちゃん、おばちゃんとよく時代劇を見てた
どの番組?
水戸黄門と暴れん坊将軍
俺もどっちもテーマソングも覚えてるわ
たしか幼稚園とか小学校低学年だったから、どっちが悪者かわからなくて、いつも「どっちが悪者?」って聞いてた
成敗という言葉で有名なのは、喧嘩両成敗でしょうか。
喧嘩をしたら、どちらも罰を受ける的な
そこから「成敗」は「裁判の基準」とが連想できるでしょう。
(教科書には「政治の判断の基準」と書かれています。)
おおまかにいえば、法律ってことです。
武士に向けた最初の法律がこの御成敗式目になります。
時代はというと、武士が中心となった鎌倉時代。
3代目執権の北条泰時が定めました。
次に「武家諸法度」
これも「いやいや、それはご法度(はっと)だよ」というセリフを聞いたことがあればわかるでしょう。
御法度=やってはいけないこと、です。
武家がやってはいけない諸々のこと、で武家諸法度。
「許可なく城を修理してはいけない、幕府の許可無く結婚をしてはならない」というようなことが書かれています。
こちらは江戸幕府を開いた徳川家康が作り、2代目将軍の徳川秀忠が公布したものです。
公事方御定書は、8代目将軍徳川吉宗が定めたもの。
内容は「人を殺しぬすんだ者 引き回しの上獄門」などといった、裁判の基準です。
獄門って何?
死罪にした上で、首を獄門の上に3日間さらす
むごい
現代の感覚からするとそうだよね
市役所などで働く人を「公務員」と言い「公」の字を使いますね。
「公事方」にも「公」が入っています。
漢字をばらすと「公の事務の方」ということですね。
公の事務の方というのは、当時は裁判関係の事務のことを指します。
それをいろいろ定めた書物ということで、御定書。
公事方のことを定めた書物で、公事方御定書となるのです。
御成敗式目は裁判の基準、公事方御定書も裁判の基準。
武家諸法度は江戸時代、公事方御定書も江戸時代。
こんなふうに重複するところがあるので、混乱してしまうのですね。
「”成敗してくれるわ!”とか”それはご法度だよ”っていうセリフ、聞いたことあるでしょ?」と中学生に尋ねてみてもYesという返事は返ってきません。
「は、はぁ……」という反応がほとんどです。
核家族が増えたり、スマホやタブレットで自分の好きな番組しか見なくなると、そんな古臭い単語を聞いたことがないという状態になりますよねぇ。
成敗や法度を知らない場合は、丸暗記するしかなくなるので、少し不利になっちゃいます。
自分で「法度」なんて使う?
使わない
今度、我が家でも「清水家御法度」でも作りましょうかね。
1.おもちゃを片付けない場合、おもちゃは破棄する
2.喧嘩をしたら両方を成敗いたす
紛らわしい歴史の用語、他にも紹介しようと思ったんですが、長くなったのでこの辺で。