両方の意見を聞くことが大事です。
でもそれだけじゃなくて、さらにその割合も知ることがとっても大事です。
平等というのは意外に難しいものです。
テレビ局は、各政党のPRのための時間を平等にするようにしているそうです。
例えば自民党が3分なら、立憲民主党も3分、日本維新の会も3分、その他の政党も全て3分。
すべて3分というのは確かに時間においては平等なのですが、問題がないわけではありません。
議員数を見てみましょう。とりあえず今回は衆議院の議員数だけ。
自民党 263
立憲民主党 97
日本維新の会 41
公明党 32
国民民主党 11
日本共産党 10
有志の会 5
れいわ新選組 3
無所属 3
となっています。
議員数が国民の声を反映しているとすれば、263名の自民党が一番国民の声に近いと言えます。
逆にれいわ新選組は3名なので……。
263名を擁する自民党と、3名のれいわ新選組、それぞれ3分の時間というのは妥当なのかという声が出てくるのも当然ですね。
かといって、議員数をそのままPR時間数にしてしまう(例えば1名1秒とする)と、自民党は4分23秒の時間がもらえますが、少人数の政党は数秒しか与えられず、政策も何も言えなくなってしまいます。
小さな政党が良い政策を言っている可能性もあるので、人数が少ないからといってないがしろにするのも良くありません。
難しい問題です。
平等を意識して「反対意見も聞こう」という姿勢は良いと思います。
しかし、落とし穴があります。
中学生にもわかりやすいように、文化祭で何をやるかという議論にしてみましょう。
Aさん「たこ焼き屋!」
クラス内で発言力のあるAさんがたこ焼き屋を推しています。
ここで、その他の人が誰も発言しなければ、たこ焼き屋に決定です。
でも、それでは民主主義とは言えません。
誰か他に案はありませんか?
そこでBさんが「お化け屋敷」と言いました。
こんなふうに、2つの意見がでると、「たこ焼き屋」か「お化け屋敷」かということで、50対50の感じがしてしまいます。
意見が一つずつ出てるので、見た目は50対50に見えますね。
でも、もしかしたら、たこ焼き屋が90でお化け屋敷が10かもしれません。
実際のところは、多数決を取ってみないとわからないのです。
同じように、憲法にしても
「改憲する」か「改憲しない」かにすると50対50に見えてしまいます。
でも実際は90対10かもしれません。
平等を掲げて、少数意見も大多数の意見と同じように並べると、その意見が少数か多数科かがわかりにくくなってしまいます。
正しく汲み取るには割合も意識するべきです。
「屋外でのマスクはしなくていい」
「屋外でもマスクはするべき」
こう並べられると50対50に見えます。
ここで割合を載せてみましょう。
「屋外でのマスクはしなくていい」83%
「屋外でもマスクはするべき」17%
こうしてみると、自分やマスクしなくてもいいと思ってるけど、やっぱり多くの人もそう思っているんだなというふうに考えられるようになります。
この辺は数学の”確率”が得意な人であれば大丈夫でしょう。
逆にそこが苦手だと
「競馬なんてな、当たるか当たらないかの2択なんだ。つまり50%の確率で当たるってことだ」なんて言われたときに
「確かにそうかも」なんて信じてしまいます。
「Switch買って~。皆持ってるのに、僕だけ持ってないんだよ」
「皆持ってないでしょ」
「持ってるよ!A君もB君もC君も。仲間内で持ってないのはD君と僕だけだよ」
さて、Switchを持っている率は60%でしょうか。
情報をそのまま鵜呑みにせず、分母や見えていない数字を考えるようにしましょう。
少数意見も大事ですが、10の少数意見を通すために90の多数派が我慢するのはなんだかなぁと思う今日このごろです。
上辺に騙されないようにするためには、きちんと調べたり、学んだりすること。
教育は思った以上に大切ですね。