物事を理解する順番としては「具体から抽象」です。
いろんな具体例を見て、そこに共通するものを見つけて抽象化していく。
例えば
乗用車、バス、トラック、救急車、消防車……
一つ一つが具体例です。
それらに共通するものは「タイヤがあること」「人が乗ること」ですね。
それらを「車」と表現します。
よって、車は先ほどの例を抽象化したものになります。
こんな風に、いろんな具体例があって抽象化していくのが一般的です。
抽象的なものを理解してから、具体例に落とし込むほうが効率的ではありますが、いきなり抽象的なものを理解するのは難しいですからね。
英語の場合、いきなり「be動詞というのがあってね」なんて言うよりも、
I am Ken.
You are Ken.
He is Ken.
といった文をたくさん浴びてから、「実はam, are, isのことをbe動詞というんだよ」という方が理解しやすいでしょう。
とはいえ、抽象的な概念を知っておいた方が理解が進むという子もいるので、私は結構序盤に「be動詞とは」を教えてしまいますけれど。
中学2年生や3年生は、それなりに英文を浴びてきたはずです。
なので、もうそろそろ抽象化しても良いでしょう。
ということで、集団授業では積極的に抽象化した概念を教えています。
例えば「3人称単数」というものを教えて、そのあとで英文をたくさん書かせます。
それまでは特に気にせず「私」「あなた」「彼」「彼女」「それ」などを同列に扱ってきたと思いますが、実はそこには人称という区別の仕方があって……と、授業を展開していきます。
3人称単数というのは「この場にいない人やものを指す呼称」というのが3人称単数の概念です。
それが理解できれば「彼」や「彼女」が3人称だということがわかります。
話している自分自身の呼び方が1人称。
日本語では僕、俺、私、わし、おいらなど1人称はたくさんありますが、英語では一言「I」
自分の話を聞いている、目の前の人が2人称。
日本語では君、あなたなどたくさんありますが、英語では「you」
ちなみに、実際に目の前にいなくても、話相手なら二人称ですので、電話口の相手に対してもYouを使います。
説明するときはわかりやすく「目の前の」とつけてます。
そうすると「彼」は二人称ではないことがわかるでしょう。
目の前の話相手のことを「彼」とは呼びませんからね。
こんな風に、概念がわかったら「じゃあ、ほかに三人称ってどんなのがある?」と聞けばすらすらでてきます。
この辺まで来ると、抽象的なものを具体的に落とし込むほうが楽です。
逆だと「3人称のものを一つ一つ例示して『これらが3人称』」と教えなければいけませんからね。
数学でいえば、偶数というものを説明するときに
2,4,6,8と具体例を示すのは大変です。
無限にありますし。
でも「偶数とはある整数に2をかけたもの」とか「偶数とは2の倍数」と言ってあげれば、具体例をぜんぶ提示しなくてもよくなります。
逆に「じゃあ、偶数を挙げてみて」といえば、いくらでもでてくるでしょう。
こんな風に、具体と抽象を混ぜながら、その時々で授業を展開します。
今日の中3Bの集団授業の英語では、抽象的から具体へとやりました。
授業の終わりにはすらすら解けていたので、だいぶ成果はあっと思います。
すらすら解いていくのを見ていると、こっちも楽しくなってきますね。
このまま頑張ってもらいたいと思います。
具体と抽象と似たような言葉で「帰納(きのう)と演繹(えんえき)」という言葉があります。
知識を一つ増やしたい人は、ぜひそれらの言葉も調べてみてくださいね。