じゃ、今日のKYな会話、いってみよう。
幽霊の存在を信じたいKYな会話
K:幽霊っていると思う?
Y:いや。
K:なんで?
Y:見たことないから。
K:酸素って見たことある?
Y:……。
K:愛は?
Y:わかったよ信じるよ。
K:幽霊っていると思う?
Y:うぜぇ(笑)
K:幽霊っていて欲しいよね。
Y:いないで欲しいよ。
K:なんで?
Y:いたら怖いじゃん。
K:いてくれた方が楽しいじゃん。
Y:どこが。
K:希望が持てるというか。
Y:なんでよ?
K:自分が死んでも幽霊になれると思っていた方が楽しいじゃん。
Y:幽霊になってどうするのさ。
K:生きてる人間を驚かせて楽しむ。
Y:なんか前にもそういうこと言ってたね。
K:うん。幽霊の仕業とされてることってさ、イタズラ心とか、子供の心理で解決できる気がすると思うんだ。
Y:例えば?
K:踏み切りで線路内に引っ張ろうとする、とか。
Y:どこが子供の心理なの?
K:「そんなに暗い顔してるなら、君も早くおいで。こっち(あの世)のほうが楽しいよ。」って手を引っ張ってあげてる、心優しい幽霊の仕業。
Y:強引だね。
K:線路内に引っ張られるのはいつも暗い顔してる人。楽しそうにしてる人は引っ張っられたりしないでしょ?あれは、この世が楽しいなら、ここにいていいよっていう幽霊からのメッセージ。
Y:つじつまが合ってしまうね。
K:心霊写真も、ちょっと目立ちたがりだったり、気付いて欲しがったりする子供の心理。
Y:なるほど。
K:もしくは、心霊写真だっていうおかげで、写真が捨てられなくなったり、その話で盛り上がったり出来るという、コミュニケーションについてまで言及してるおせっかいな幽霊の仕業。
Y:そう思うと、心霊写真も楽しくなるね。
K:自殺スポットとかも幽霊が人を惹きつけてるんじゃなくて、ただ単にそこが死にやすい場所だからだよね。
Y:以前も「立ちションだって、電柱とかにするのはそれがしやすいからであって、電柱に立ちションの幽霊がいて、それが引き寄せてるせいじゃない」って力説してたね。
K:そうそう。人って意外にシンプルな思いで行動してるだけなのに、それを無理矢理幽霊のせいにしてる感じがある。
Y:納得したいんだろうよ。
K:幽霊だってたまったもんじゃない。きっと「また僕らの仕業ですか」って嘆いてるはず。
Y:そうかもね。
K:夏になると浜辺に人が押し寄せるように、幽霊も押し寄せる場所があって、それがいわゆる心霊スポットってことだろう。
Y:幽霊が屋台とか出して、お祭りしてんのかな。
K:んなわけないじゃん。
Y:話を合わせてあげたのに。
K:幽霊って、知らない人だから怖いわけで、知ってる人の幽霊ならむしろいてくれた方が楽しいんじゃない?自分のおばあちゃんの霊とか。
Y:そうかもね。
K:でも、子供の頃は幽霊ってめっちゃ怖かったよね。
Y:うん。
K:「車を運転していて、ふとバックミラーを見ると後ろの席に幽霊が乗ってる」なんて話を聞いて、絶対一人じゃ車乗れないって思ったけど、今は平気だもんね。
Y:言われてみればそうだね。
K:なんで?
Y:幽霊なんていないって気付いちゃったんじゃない?
K:だよね。心霊スポットとかもさ、暗くて怖いかもしれないけど、幽霊が出る怖さより変質者が出る怖さの方が大きい気がするんだ。
Y:ほう。
K:あとは犬とか狼とか。
Y:狼なんていないでしょ。
K:山奥はわかんないじゃん。幽霊よりもそっちの方が可能性があるんじゃない?
Y:そうかもね。
K:結局、幽霊って人の心が作り出したものだと思うんだよね。
Y:そうだね。
K:「あいつに酷いことしたな。今でも俺を恨んでるかもしれない」なんて思ってる人が、幻覚でも見ちゃうんじゃないの?
Y:猜疑心ってやつだね。
K:霊感があるとか言われる人は、そういうのが多いのではないだろうか。自分の中で何かを作り上げてしまうような。
Y:なるほど。
K:そう考えると、霊感が強い人ってのは、臆病だったり、猜疑心が強い人ってことになるね。
Y:そうかもね。「ほんとうにあった怖い話」とかは全部フィクションってことなのかな?
K:そこは難しい解釈でして。
Y:なんで?
K:例えば、本当に幻覚が見えるくらいまで思いつめた人が、電車のホームに立ってるときに、自分をレールの方に引っ張るような手を見たとする。
Y:うん。
K:幻覚だとしても、その人にとっては「自分を引っ張る手が見えた」ってことは真実になってしまう。
Y:ほう。
K:周りには見えなくても、その人に見えたのなら、その人にとっての真実であって……。その人が幽霊を見たと言っても、それはそれでノンフィクションなんじゃないかと。
Y:なるほどね。
K:だから強く信じれば、黒だって白く見えるかもしれない。そこに黒い鉛筆があっても、それは白だと言う人がいたとして、常識的に考えたら本当に黒の鉛筆かもしれないけど、白だと言った人には本当に白に見えるのかもしれない。
Y:うん。
K:相手の言ったことが本当かどうかなんて、相手の心をのぞくことは出来ないんだから、確かめる術はないわけで。そこは、俺には黒い鉛筆しか見えないよって言う人もいれば、本当に白に見えるのかもって考える人もいる。
Y:幽霊の存在も信じるかどうかは、各々によると。
K:そういうこと。自分だけの基準で、頭ごなしに否定するのも良くないかなって思う。
Y:なるほどね。幽霊の話をしてて、こんな結論になるとは思わなかったよ。
K:ただ、幽霊の存在を主張する人はもっとこう、誰もが納得できるような理論的な証拠を出して欲しいものだね。少なくとも今の俺オイラは、幽霊はその人の心が見させてるものっていう論が有力だと思ってる。
Y:うちらが生きてるうちは解明されることはないだろうね。
K:幽霊はいて欲しいのに、いると証明できる人が見当たらないんだよね。
Y:結局いないってことになっちゃいそうだね。
K:ま、一番怖いのは幽霊なんかじゃなくて、人間の方だってことで。
Y:はい。
K:さっきから気になってたんだけど、君の後ろにいる人誰?
Y:え?
K:じゃ、またね。
Y:俺の後ろに誰かいるの?
K:じゃ、またね。
Y:ばいばい。