2022年茨城県公立高校入試のメッセージ

2022年3月茨城県公立高校入試は、ほぼ選択肢という方向に舵を切りました。

それまではどんどん記述問題が増えていっていたので、180度方向転換です。

 

 

これに関しては、採点が透明化されたということで、私は良いと思います。

記述問題だと「漢字ミス」「日本語を正しく使えているか」「字が雑なのはどこまで許容すべきか」など採点側の判断に振れ幅が生じてしまいます。

 

 

例えば、

武士と農民の区別がはっきりした背景を豊臣秀吉がしたことを含め、「兵農分離」という言葉を使って答えなさい。

という問題があったとしましょう。そこで

「刀狩りとたいこう検地を行われ、兵農分離が起こった」

と書いた場合、これは満点を貰えるのか、減点になるのか。

友人Y
満点じゃないの?どこが減点?

 

1.「刀狩り」なのか「刀狩」なのか。

教科書に合わせて答えるのが基本ですので「刀狩」が正解。

でも「刀狩り」と書いても減点はされないはずです。

 

 

2.「たいこう検地」ようにの漢字で習う用語をひらがなで書いてもいいのか。

漢字で書いて漢字を間違うとバツ。

でも、ひらがなならマル。

そうなると、バツを避けるためにひらがなで書こうということになります。

その考えに侵されると、答案用紙はひらがなだらけに。

でも、漢字で書けと指定されていなければ、ひらがなでも丸になるというのが一般的な感覚だと思います。

なので、この例の場合は減点なし。

 

 

3.「を行われ」という日本語の使い方の誤りはどこまで許容するか。「兵農分離が起こった」という表現は正しいのか。

 

問題文では「豊臣秀吉がしたことを含め」ですので、「(豊臣秀吉が)刀狩りと太閤検地”を行い”」というように、能動で表現するのが正しいのです。

でも、そこを少し間違えたくらいで意味が通じないかと言われたら、そうでもありません。

 

例えば日本語に不慣れな外国人が「(豊臣秀吉が)刀狩りと太閤検地”を行われ”」と言っても、聞き手は正しく受け取れるでしょう。

友人Y
「行われ」って尊敬語のようにも見えるね
清水
そう主張する子がいたら否定するのも難しいかもね

 

 

さらに「兵農分離が起こった」という表現は正しいのか。

友人Y
「兵農分離した」が自然?

 

清水
「兵農分離を進めた」でも良さそう

 

これもやはり「兵農分離が起こった」と言われても、聞き手はそんなに困らないでしょう。

 

 

「産業革命が”起こる”」「殖産興業を”掲げる”」

産業革命は自然発生のような出来事なので”起こる”という動詞が合います。

イギリス以外の産業革命は自然発生なのかという問題もまた出てきちゃいますけれど。

 

殖産興業は「”今後はこういう国にしていこう”という政策」なので”掲げる”が合います。

スローガンですからね。

”一球入魂”みたいなものです。

 

 

 

 

このように、記述問題は採点がばらつく要素がたくさんあります。

それは採点者の負担にもなりますし、合否判定の不透明感が増します。

 

記述問題の増加は「一問一答形式で用語を覚えるだけでは駄目。内容をきちんと理解して、正しい日本語で書けるようにしなさい」というメッセージだったと思いますが、それを確認するために入試問題で出していたけれど、デメリット部分も大きかったということでしょう。

 

 

記述問題かどうかはわかりませんが、去年は採点ミスがあったので、そういうのを徹底的に防ぐ目的もあったかもしれません。

 

 

でも私は別の捉え方をします。

 

国語では「漢字を書かせる問題」がなくなりました。

でも「漢字の読みを書かせる問題」は残っていました。

 

ここに記述問題が減った理由、問題作成者側からのメッセージがあると思います。

 

それは「今の時代、漢字は書けなくても良い。漢字変換の中から正しい漢字を選べれば良い。でも読めななくては実生活に支障が出るから、読めなくては駄目」ということなんじゃないかなと。

 

私は一般的な大人に比べればペンをよく持つ方です。

でも「自分の住所と名前以外の漢字を書く機会がない」という人は結構いるんじゃないかと思います。

さらに、漢字を書けなくても実生活でそこまで困ることはない、という現実があります。

 

 

スマホが当たり前になった時代で、漢字をすべて暗記するというのはナンセンス。

調べればすぐに出てくるのだから、脳のリソースを別のことに使ったほうが良い、という考え方になってきているのではないかと思います。

 

実生活では漢字を書けなくても支障はありませんが、読めなくてはものすごく支障がでます。

 

「読めるけど書けない」は許容される社会になってきてるんじゃないでしょうか。

 

 

 

”ていねい”って漢字で書いてと言われて、とっさに書ける人は意外に少ないと思います。

でも”丁寧”って書いてあって、それを”ていねい”と大半の人は読めるでしょう。

 

友人Y
醤油とかも読めるけど書けない
清水

そんなのいくらでもあるよね

友人Y
ラーメン屋のメニューは読めるけど書けない
清水
みんなそうだよ

 

実生活では読めればいい。

漢字を暗記するより、人間でしかできないことを考えるために、時間を使いなさい。

 

そんなメッセージがあるんじゃないかと考えています。

 

 

その結果、今回のような選択問題が多いテストになり、その副産物として採点ミスが激減する、と。

 

採点ミスを減らすのが第一の目的で、私が勝手にメッセージを考え出しているかもしれませんけれど。

 

友人Y
どっちもあるんじゃん?

 

 

小学生では一問一答形式で用語の暗記を、

中学生ではその用語を使った思考を、

というのが良さそうですけどね。

 

そんな考えなので、今回の茨城県の入試の方向性には賛成です。

 

数年前に計算問題をなくしたときも「今後は計算なんてAIにまかせて、人間は式を立てる方に脳を使え」というメッセージだと思いました。

 

でも、今回は計算問題復活してるんですよね……。

 

この辺は「計算問題も出さないと、習熟度が測れない」という問題がでてきてしまったのではないかと思います。

 

計算問題を出すと、その子が何年生のあたりで数学ができなくなったかが一目瞭然ですからね。

 

思考力を問う問題重視で計算問題をなくしたら、0点や4点が多発してしまったので元に戻したんだと想像してます。

 

 

 

選択問題ばかりになったことは「適当に答えても当たるかも」となり、勉強が苦手な子にはラッキーと映るかもしれません。

たしかに、10点未満の点数の子にはラッキーでしょう。

でもそうじゃない場合はラッキーではありません。

選択問題のが難しいですからね。

いや、難しいというと語弊がありますね。

 

 

選択問題形式になっても、難易度はほぼ変わりません。

だから、期待も絶望もしないのが正解です。

 

たんたんと自分のすべき勉強をするのみ。

 

 

今年も来年も、Lilyでやることは変わりません。

 

清水
みんながんばろう

清水のフリートークの最新記事8件

>学習塾Lilyの方針

学習塾Lilyの方針

通塾生の学力向上を第一に考え、行動します。

Lilyのブログを毎日更新します。

CTR IMG