「俺、本気出したらすごいから」という人いますよね。
そんな人に対して言い返す言葉は「いやいや、あなたは本気出せないから」です。
というか、そもそも、そういう人が言う「本気」はこの世に存在しないのです。
「俺、背中に羽が生えれば飛べるから」の「羽」と一緒。
百歩譲って「本気を出したらすごい」というのは認めましょう。
でも、その本気を出す場面が訪れないのが現実です。
「俺、本気を出せば1日10時間勉強できるよ」という人に、1日10時間勉強しなきゃならないような差し迫った状況は訪れないのです。
黒尽くめの男が背後に立ってピストルを構え「本気を出して勉強しなければお前を撃つ」なんていうことは起こりません。
本気を出す場面なんて、滅多に訪れません。
そして、そんなレアな状況のために、日々鍛錬し続けることもできません。
私は家でふざけて「ハイキーック」と言って足を振り上げてキックする素振りをするのですが、そのキックの低いこと。
相手の腰くらいまでしか上がりません。
こんな私が「強盗が来た時は本気出すから、ハイキックで相手の顔面を蹴って倒せるよ」なんて言ったところで信憑性は全くないのです。
普段できないことは、本気を出してもできません。
普段ケアレスミスする人が「本番では本気を出すのでケアレスミスしない」と言っても信じられません。
普段字を雑に書く人が「本番では本気を出して字を丁寧に書くから大丈夫です」と言っても信じられません。
本気なんてないのです。
そんなふうに「秘密兵器を持っている」風な自分を演じたいのかもしれませんが、秘密兵器を出す場面は訪れないし、そもそも秘密にしている時点で、その兵器は使えないのと同じです。
「本気を出せば10時間勉強できる」と言っている人の横で、黙々と10時間勉強する人がいます。
できる人はこのように「本気を出せばできる」と言って能力を抑えるようなことはしません。
自然体で能力を発揮しているのです。
よって「本気を出せばできる」という人は「弱い犬ほどよく吠える」の弱い犬と一緒です。
口に出す前に、実践して証明しましょう。