カーナビで「300m先、左折です」というアナウンス。
妻は「300mって言われてもどの辺だかわからない」と言います。
「700m先っていうと視界の奥の方で、300mなら真ん中あたり」といった具合に、私も感覚で捉えているのでうまく説明できません。
距離や速さなど、具体的な数字で言われてもピンとこないことがあると思いますが、それは数学では不利になってしまいます。
なぜなら、間違いに気づけないからです。
「Aさんは自転車で、歩いているBさんを抜かした。Aさんの速さは?」といった問題で、計算していったら答えが「800」と出た場合、これが「時速」なのか「分速」なのか「秒速」なのか、そもそも距離は「m」でいいのか「km」なのか。
さすがに時速800kmと答える中学生はいません。
でも分速800mと答える中学生はいるでしょう。
大抵の中学生はここで満足して次の問題に行ってしまいます。
でもちょっとまって。
自転車で分速800mって現実にあり得るのでしょうか。
1分間で800m進む速さが分速800mですよね。
1時間(60分)は1分の60倍だから、800を60倍すると48000。
単位をつけると「時速48000m」ですね。
メートルだとピンとこないので、キロメートルにしてみましょう。
「時速48km」
はい、これは自転車の速度としてあり得るのでしょうか。
時速48kmといったら、自動車じゃないと出せませんね。
原付きのバイクだって時速30kmしか出しちゃだめってことになってますので、それより自転車が速いっていうのは不自然です。
となったとき「計算で出た800という答えが間違ってるかも。もう一回計算してみよう」となるわけです。
そして、計算はたしかに800になるのであれば、今度は「そもそも式が間違っていたかも。もう一回考えてみよう」となるわけです。
この解き直しができるかどうかは不自然さに気付けるかどうか。
日常の距離や速度を数値で考えたことがあるかどうかにかかってきます。
「歩く速度は時速何キロくらい?」という質問に即答できる子は多くはありません。
A地点からB地点の距離が50kmだとしましょう。
その距離を行くとき、徒歩だったら不自然で、車だったら自然だと思えるでしょうか。
もし、問題文中のKさんが徒歩でその距離を行くことにしたとして、だいたいどれくらいの時間がかかるでしょうか。
中学生にはまず50kmという距離がどれくらいかが頭にありませんし、50kmを歩くとどれだけ時間がかかるかもわからないでしょう。
このように、身近な経験に照らし合わせると、大外れはしなくなります。
歩く速さは時速5kmくらいなので、50kmの道のりならだいたい10時間です。
ちなみに車の平均速度は時速30km〜時速40kmくらいです。
田舎は信号が少ないので時速60kmで走っている時間が長いと感じますが、それでも平均の速さは時速30〜40kmになります。
信号で止まると時速0kmになってしまうので、平均するとだいたいそれくらいなんです。
ちなみにこの平均の速さというのは「全体の距離÷全体の時間」で求めます。
信号待ちで5回くらいは時速0kmになったなんて細かいことは言わず、スタートした時刻とゴールした時刻から割り出す「全体の時間」で計算します。
「平均の速さ」は中3の理科の話です。
50m走が遅かった人にとっては、50mというのは結構遠いと感じるかもしれませんが、時速60kmの車で進むと3秒です。
100m先というのは6秒後にたどり着きます。
300m先と行ったら18秒後です。
Lilyの教室の床から天井まで何mでしょうか?
自分の家の天井の高さでもいいですよ。
「自分の身長が150cmだから、縦に2人は入りそう。よって3m!」と、考え出せばしめたもの。
身長が伸びるたびに柱に傷をつけている家庭もあると思いますが、そういった家庭の方が家の天井の高さが何mか、考えやすいかもしれませんね。
距離や速さの他に、重さも意外にわかりませんので、我が子に問題を出してみてください。
自転車の重さはどれくらい?
自分のかばんの重さはどれくらい?
水1Lのペットボトルが1kgだと知っていると、かばんの重さとかは推測しやすいでしょう。
こうやって身近な単位で遊んで、日頃から感覚を鍛えましょう。
勉強は机の上ではなく、その前から始まってますよ。
そういえばこの前、地理のメルカトル図法の話あたりで、「あ、これってブログに書いてあったやつですよね」と1年生。
役に立つブログももうちょっと高い頻度で書いていきたいと思います。