日本語の挨拶と英語の挨拶を比べてみると、面白いことがわかります。
「おはよう」”Good morning”
「こんにちは」”Good afternoon”
「こんばんは」”Good evening”
「おはよう」は「今日もお早うございますね」というフレーズが短縮されたもの。
朝早く家の前をほうきで掃いているところに、仕事に行く隣の旦那さんが通りかかって、そこで「おはようございます」と挨拶する。
「こんにちは」は「こんにちはお天気が良くて気持ちいいですね」といったフレーズが短縮されたもの。
「今日は生憎の雨ですね」「今日は寒いですね」そんなふうに挨拶がてら気候の話をよくしますが、それが短縮されて「こんにちは」。
いずれにせよ、事実を伝えるための最初の一言が「おはよう」や「こんにちは」です。
対して英語は”Good morning”、これを直訳するなら「良い朝」ですね。
これは相手に対して「良い朝をお過ごしください」「良い朝でありますように」という、お祈りがもとになっています。
もともとの由来はそうであっても、今は誰もそこまで意識してないと思いますけどね。
私自身、おはようの意味なんて考えたことはありませんでしたし。
「おやすみなさい」はなんで「〜しなさい」みたいに命令っぽいんだろうという疑問があって、調べたりしましたが。
あれは「今日もお疲れでしょう。そろそろ”おやすみなさい”ませんか」の「なさい」だから命令ではなく、尊敬語っぽいものです。
英語を学ぶと、こういったことがわかるわけではありません。
私も中学生や高校生の頃、こんな話を聞いたことはありませんでしたし。
でも、英語を習うと、英語を話す人の感覚もわかってくると言われ、たしかにそうだなと思うようになりました。
例えば英語では最初に重要なことを言って、あとに修飾語をくっつけていきます。
I went to the shop to buy a CD with my friend Ken at seven yesterday.
「私は行った、その店に、CDを買うために、友達のマイクと、7時に、昨日の」
こんな具合です。
対して日本語は、最後に述語動詞が来ます。
「私は昨日の7時に友達のマイクとCDを買うためにその店に行った」
日本語は最後の最後に重要なものが来るので、最後まで話を聞かないと意味が伝わりません。
「私は昨日、お母さんと夕食を……」
この……に入るのが「食べた」のか「買ってきた」なのか「作った」なのか、最後まで聞かないとわかりません。
英語なら
”私は作った”
から始まり、「お母さんと」とか「昨日」といった情報があとから追加されていくのです。
文章を映像として頭の中でイメージするとき、英語の語順のほうがぱっとイメージできますよね。
イメージの中にどんどん情報が足されていく感じです。
日本語はいくら最初に「昨日」「お母さんと」と言われても、私とお母さんが何をしているかのイメージができません。
最後に「作った」という言葉を聞いて、「私とお母さんがキッチンで夕食を作っている」という場面がイメージできます。
これが最後に「買ってきた」だと、私とお母さんがスーパーから出てくる場面にガラッと変わります。
最後の一言を聞かないとイメージできないし、
最後の一言を聞く前に予測してイメージしていても、最後の一言次第でそれまでのイメージがガラッと転換することもあります。
これがたぶん、英語を話す人にとっては厄介なのでしょう。
「Why Japanese people!!」と思っているに違いありません。
英語の語順に慣れると、日本語の語順がわかりにくく、面倒くさいと感じます。
日本語を使い続けてきた私たちにとっては、何不自由ないのですけれど。
語順一つで、こんなふうな感覚の違いがわかります。
こうやって多文化を知ることができるのも外国語を学ぶメリットですね。
外国語なら何でもいいんですが、だったら国際的な言語である英語を習うのが合理的ですよね。
使っている人口で言ったら、一番多いのは中国語ですし。
英語は第二言語として話す人が多いので、それらも合わせると2位になります。
1位はやっぱり中国語です。
「第二言語として学ばれる=母語として使う地域以外の人も使いやすい」ということで、習うならやっぱり英語ですね。
とりあえずは、英語を通して日本人以外の感覚というのも学びましょう。
ちなみに私もまだまだ勉強中。
勉強は奥が深すぎますね。