米作りの最初の方に「くろかけ」という作業があります。
田んぼと田んぼの間のあぜ道にビニールをかけるのです。
この作業は中腰になることが多く、腰が痛くなります。
最近はトラクターであぜぬり(あぜを固めること)ができるので、それを持っている人は楽ちんでしょう。
私はいつもくろかけをしている姿を見て思うのは「この作業、いらなくない?」ということです。
そもそも、田んぼと田んぼの仕切りを作る必要がないのでは?と。
例えば、大きな長方形に3つの田んぼに分けるとしたら、間に2本のあぜ(仕切り)が必要ですよね。
逆に言えば、3つの田んぼに分けずに1つの田んぼとするなら、あぜはいらないのです。
そんなこともあり、田んぼを細かく仕切って米作りするよりも、仕切らずに大きな田んぼで米作りした方が効率がいいと考えています。
あぜを作ると、その近くは苗を植えられませんからね。
それなら、あぜを作らずに全面植えた方がたくさん植えられます。
とはいえ、すでに分けられている田んぼを1つにまとめるのは所有権がらみで難しそうです。
「それなら1つにまとめなくていいから、あぜを作らずに、杭と糸で仕切りを作るだけでいいんじゃない?」と考えました。
一見、名案に見えるかもしれませんが、これでは駄目なんです。
杭と糸で仕切ったとしても、苗をギリギリまで植えることはできません。
植えるときに田植え機が糸に引っかかったりするし、隣の田んぼの稲がギリギリまで植わっていたら、稲刈りのときにコンバインが隣の稲を潰してしまうかもしれないのです。
なので、糸の仕切りから少し離して苗を植えるのが現実的です。
両側の田んぼで糸の仕切りから少し離して植えると、その間にあぜ道一本分くらいのすき間ができます。
そうやってすき間を作ってしまうと、今度は雑草が生えてきてしまうのです。
ということで、結局あぜが必要になり、あぜをそのままにしておくと、あぜから雑草が生えてくるので、ビニールをかけることになります。
そうなんです。
結局、くろかけも必要な作業になってしまうのです。
この作業を無くすには、田んぼを仕切らずに大きな状態にするか、くろかけをしなくて済むようにトラクターであぜぬりをしなくてはいけません。
小さな農家がくろかけを省くために、あぜぬりのためのトラクター部品を購入するのもコスパが悪い……。
こうなったら、あぜぬりできるトラクターを持っている人が、あぜぬりだけを請け負って、その辺の田んぼのあぜを、あぜぬりしまくればいいと思います。
時代は分業です。
あぜぬり業者、しろかき業者、田植え業者、稲刈り業者、という感じで分業すれば、機械代を節約できそうなんですけどね。
人手があるうちは、現状のまま、小さな農家がそれぞれ小ぶりな農業機械を持って農業をするでしょう。
そのうち、人手がなくなったら、もっと効率よくなるんじゃないかと期待しています。
ということを言いながら、くろかけ作業を頑なに手伝わない私でした。