人は必ず、何かを忘れます。
それは人間に備わっている標準的な機能です。
勉強している人にとっては、その機能はいらないと思うでしょう。
でも、忘れられないのは苦痛が多いと思います。
私が毎日楽しく生きていられるのも、たぶん何かを忘れているからでしょう。
今でも初恋の失恋の傷を忘れられずにいたら、前に進めなくなっちゃいますからね。
そんな優しい機能ですが、受験生にとってはいりませんよね。
でも残念ながら、それを取り外すことはできません。
人は必ず忘れます。
だから諦めろと言うのではなく、その機能をわかった上で行動するべきだと言いたいのです。
忘れないためにはどうするか。
これを考えて行動すると、忘れたくないものは忘れにくくなります。
一番効果的なのは繰り返すこと。
でも、繰り返して覚える作業をする時間がない場合に有効なのが「忘れたときに思い出す方法を作っておくこと」です。
例えば11〜20までの数の2乗の数を覚えるとします。
12×12=144
13×13=169
14×14=196
15×15=225
16×16=256
17×17=289
18×18=324
19×19=361
20×20=400
これらの数字を覚えるとき、丸暗記で16の2乗まで覚えられたとします。
でも17、18、19はすぐ忘れてしまう……。
そのときは「忘れるのは仕方ない。でも忘れたときに思い出す方法を考えよう」と思いましょう。
「一の位×4と一の位×一の位の一桁をすれば思い出せる」という具合に。
17×17で説明しましょう。
一の位は7ですね。
それに4をかければ28。
さらに、7×7をすると49だから、その一の位の9。
28と9で、289。
18×18なら
一の位の8に4をかけて32。
8×8=64、の、一の位の4。
32と4で、324。
19×19なら
一の位の9に4をかけて36。
9×9=81、の、一の位の1。
36と1で、361。
ということで、
17×17=289
18×18=324
19×19=361
百の位と十の位の数が「×4」になっているのは偶然です。
17、18、19以外には使えません。
でも「一の位×4と一の位×一の位の一桁をすれば思い出せる」ということを忘れなければ、その3つは思い出せます。
1行覚えるだけで、3つの記憶を引き出せるのです。
17×17=289
18×18=324
19×19=361
例えが悪かったか……
とりあえず伝えたかったのは、忘れることを前提に行動しなさい、ということでした。