小学生には衝撃的な(?)注文の多い料理店。
宮沢賢治の作品です。
レストランに迷い込んだ猟師が、美味しい料理が食べられると思い、レストランの貼り紙に書いてある指示に従っていると、実は自分たちが食べられる側だったと気づいたっていうお話ですね。
最近の塾長コミュニティで話題になっているトピックに触れて、注文の多い料理店を思い出しました。
塾は、各家庭にどれくらいの負担をお願いするか、という話題です。
例えば「勉強については塾に任せてください。家では全くしなくても大丈夫です。その代わり、毎日塾に来させてください」というタイプがあります。
このタイプの塾は結構多いです。
逆に「成績を上げるには家庭でのご協力が必要なので、よろしくお願いします」というタイプ。
どちらが正解というわけではなく、違ったタイプの塾があるな〜という話です。
この話題を、別の業界で例えてみましょう。
私がよく例えに使うスポーツジム業界。
A「シェイプアップはお任せください。ジムでみっちりトレーニングします。家では自由にくつろいでください」
B「シェイプアップしたいのなら、ジムでのトレーニングはもちろん、普段の生活が重要ですので、家でも食事に気を配ってください」
次にレストラン。
A「おいしい料理を出します。至福のひとときを提供します」
B「料理をおいしく召し上がっていただくには空腹が必要です。当店にお越しいただく4時間以内には何も口にしないでください」
ピアノ教室。
A「来室されたときに存分にピアノ練習するので、家ではしなくて大丈夫です」
B「家でもぜひ練習してください。ピアノがない場合は、想像で手を動かすだけでも十分です」
習字教室。
A「来室されたときに存分に練習するので、家ではしなくて大丈夫です」
B「普段からの姿勢が大事です。ご家庭でも字を練習して、その様子を見てあげてください」
パターンはわかりましたか?
塾に話を戻します。
Aタイプは「お金を払ってるんだから、塾でなんとかお願いします。だって、親じゃ勉強教えられないから、通わせてるんですから」って思って通わせてる家庭が多いと思うから、勉強に関しては塾で面倒見るべきという主張。
Bタイプは「いくら塾とはいえ、塾以外で勉強0なら伸ばせない。心構えや普段の思考を家族も含めて変えていかないと」という主張。
A「お金を払っているのに、さらに家庭での負担を強いられたら、塾を辞めさせるでしょ」
B「塾に毎日通わせても、成績が上がらなければ、塾を辞めさせるでしょ」
A「毎日塾に来ていれば成績が上がらないなんてことはない」
B「塾に行って勉強しないともうどうしようもない=ICUに入るようなもの。それよりも、普段のよい生活習慣を送ってもらえるようにしたほうが健康的」
A「そんなのは各家庭はわかっている。わかっていてもできないから、塾にお願いするのでは?家庭でも勉強してくださいというのであれば、塾は不要になってしまう」
こんな感じでお互いの意見を出し合います。
A「『親が勉強を管理したり、スマホを使いすぎないようにコントロールしたりするのが良い』とわかっていても、それができる家庭はごくわずか。
大半はわかっていてもできない。
だから、塾の需要がある。
人は強制されないとできないことは往々にしてあるのだから。」
B「だからといって、勉強のことは全部塾ってなると、この先も勉強=塾となり、自分で勉強できない人になってしまう」
A「高校入試の勉強はあくまできっかけ。塾でがむしゃらに勉強して成績が伸びれば『成績を伸ばす勉強の仕方』が分かるのだから、のちの財産になる」
……あ、これは平行線なので、結論はありませんよ。
最初の方で言ったように「どちらが正解というわけではなく、違ったタイプの塾があるな〜という話」です。
塾を探す上で、どっちのタイプの塾かを知っておくと、より生徒に合った選択ができるんじゃないかと思います。
完全に2分されるわけではなく「基本的には塾での勉強だけでOKですが、宿題のワークなどは家できっちりやってください」という中庸タイプの塾が一番多いんじゃないかなと思います。