私が塾講師として働き出した最初の地域は東京の高円寺というところでした。
東京は中学受験が活発で、初めて勤めた塾では7:3くらいの力の入れようでした。
7が中学受験の小学生、3が高校受験の中学生です。
私がその比率で力を入れていたわけではなく、カリキュラムや職員室での会話の割合などを考えるとそれくらいかなぁという感覚的な数値です。
東京の中学受験は大変です。
小学校で習わない分野がバンバン出ますから。
思考力を問う問題が増えてきたとはいえ、ベースになる知識の量は中学生顔負けです。
小学校4年生、5年生で中学受験に必要な知識を入れ、6年で仕上げをするというスケジュールで動くので、6年生になってから中学受験しようと決めて塾を探したのではもう遅いです。
しかも、小学校では習わないため、塾での勉強がメインになってしまいます。
中学生の高校受験は、学校で習う範囲で出ますので、学校の授業と塾の授業で2回勉強できますが、小学生の中学受験はそうはいきません。
そう考えると、中学生より厳しい立場で勉強していることになります。
そのせいか、中学受験を考えている小学生は勉強をものすごくします。
量がすごいのです。
テキストのページ数や問題数だけでいえば、高校受験をする中学生より多いんじゃないかと思います。
部活をやっていない分、夕方早い時間から勉強できますしね。
私もそう思っていました。
が、違うんです。
やっちゃうんです。
中学受験をする子たちは、なんだかんだ言いながら、かなり勉強してるのです。
塾にいる子達だけを見ていると「皆やってるし、それくらい勉強するよね」と思うかもしれませんが、中学受験をしない小学生と比べると、量も時間も圧倒的に違うのです。
少年清水は小学校時代、学校の宿題以外は勉強したことありませんでした。
田舎ではそれが当たり前な気がします。
今でもそんな感じですよね。
最近、近所に中高一貫校ができ始めたので、少しずつ変わっていくかもしれませんが、それでもクラスに数人の受験希望者数でしょう。
少年清水の頃は学年に1人いるかいないかでしたので、そこから比べるとだいぶ増えてますけど、東京と比べたら全然ですね。
地域性は大きいと思います。
だってこの辺で中学受験しようと思っても、私立中学や中高一貫校がないんですもの。
選択肢に入れようがないのです。
でも、0ではありません。
中学受験を考える小学生はここ明野にもちゃんといるのです。
この地域からの中学受験は、私立中学とは物理的な距離も遠いし、中学受験対応塾もないという不利な点が多いのですが、それでも頑張る子がいます。
「君、習字やってるね」とひと目見ればわかるように、中学受験経験者もちょっと見ればわかります。
馬力が違うのです。
机に座って勉強したら、そのままずっと続けていられる。
この集中力は小学生のうちに養われたんだなと気づくのです。
私は自分の娘を中学受験させる気はありません。
中学受験はしませんが、中学受験のための勉強はさせたいと思います。
中学受験のためというか、中学受験生並の、ですかね。
人間の性質を考えると、入試のような負荷のかかる関門試験って必要だなと思います。
中学入試で合格したらそのまま大学入試まで試験がないっていうのもあんまり良くないんじゃないかなと思うのです。
なぜなら、少年清水が中高一貫校に受かったら、その後勉強しなくなるからです。
試験のための勉強しかしないっていう考え方ですね。少年清水は。
塾講師をするようなって、ようやく勉強する楽しさが分かりました。
今なら試験がなくても数学の問題を解いたりできます。
でも、学生だった当時はそんなことは無理なのです。
だから、関門は必要だと思うのです。
その関門を突破することが大切なんじゃなくて、突破するための努力ができたかどうかが重要だと思います。
中学受験に立ち向かった子たちは自信や反省が自分の中にあると思うので、中学生になってからの高校受験では大いに有利だと思います。
中学受験で培った武器を手に、中学校では無双状態になってもらいたいですね。
私の娘が中学受験をする年齢になるまであと10年弱。
その頃には環境も、考え方も、だいぶ変わってるかもしれませんね。