「菜の花、ずいぶん長いね~。桜に比べて」
いまだに景色を彩る菜の花を見て、私はそう言いました。
「ほんとだよね」
と、妻が返しました。
日本語では主語が省略されることがあると習います。
確かにいちいち主語を言わなくても分かるでしょって思うシーンもたくさんあります。
今回の話をAIロボットとしていたらどうなんだろうと考えてみました。
おそらく私の「菜の花、ずいぶん長いね」という発言を、AIロボは「菜の花は長い」と認識するのではないでしょうか。
物理的な長さのことですね。
菜の花はタスキよりも長い、みたいな。
でも、私が言ったのはその長さではありません。
期間的な長さです。
咲いている期間がずいぶん長いなぁと思って発言しました。
これを読み取るのって、結構難しいのかもしれませんね。
テレビを見ていると( )つきでテロップがついています。
今回の例でいうと「菜の花、(咲いている期間が)ずいぶん長いね~」となるでしょう。
この( )を補う能力ってなんなんでしょうね。
今後はAIでもできるのかもしれませんが、現時点では難しい気がします。
AIスピーカーのアレクサに「アレクサ、今日の天気は?」と聞くと、教えてくれます。
「アレクサ、目覚めの曲を流して」と言えば、「朝に聴くクラシック音楽」を流してくれます。
だいぶ会話が成り立っています。
「アレクサ、コナンの正体は?」と聞くと、それについて延々と説明してくれます。
でも、「もう止めて」という意味で「アレクサ、ありがとう」を言っても通じません。
「説明は十分、もうわかった。そこまで説明してくれてありがとう」、のありがとうをまだ理解できないみたいですね。
AIには皮肉も通じないでしょう。
お土産を「つまらないものですが」と言って渡す日本の謙遜の文化も理解が難しいようで、「つまらないものなら持ってくるな」とか「つまらないものを渡すな」と言う人だっているくらいですからね。
人間でも、伝わらない人はいっぱいいるのですから、AIにはまだまだ無理ですね。
AIにはなかなか伝わらない、人間ならではの微妙なニュアンスは大事にしたいものです。