勉強を頑張ったご褒美としてお小遣いをあげることの是非。
お小遣いに限らず、スマホでもゲームでもなんでもいいのですが、とにかく見返りを用意するのはありなのか、なしなのか。
一長一短があるので、結論を言ってしまえば、どちらでもいいのですが……。
目的や使い所次第ですね。
例えば、次のテストで400点を超えたらゲームを買ってあげるという約束をしたとしましょう。
その子は頑張って、400点を超え、約束通りゲームを買ってもらいました。
ここまではご褒美をあげる親も、もらう子もどちらも満足なはずですよね。
でも、そのままゲームにハマり、悲惨な成績になってしまった……。
見かねた親が「次のテストで400点を超えたら別のゲームを買ってあげる、超えなかったら今までのゲームもすべて没収」という約束をします。
そして、このやりとりは1,2回だけでなく、テストのたびに行われます。
にんじんを目の前にぶらさげて馬を走らせる方法ですね。
過去に、こんな実験があったそうです。
「プラモデル作っていいよ〜」と言ってプラモデルを渡します。
そして、プラモデルが完成したら「はい500円」とお金をあげます。
また「プラモデル作っていいよ〜」と言ってプラモデルを渡します。
そして、プラモデルが完成したら「はい500円」とお金をあげます。
別のグループには、プラモデルを完成させても何もあげません。
何度か繰り返した後、「プラモデル作っていいよ〜。完成しても何もあげないけど」と言うと、それまで500円をもらっていたグループの人たちはプラモデルを作らなくなったそうです。
これは、プラモデルを作ることが労働になってしまっていたということです。
楽しむためではなく、労働して報酬を得るために作っていたということに変換されていたようです。
そして、この500円を与えるという行為が「プラモデルを作ること自体は面白くない」と認識させてしまっているのです。
面白くないこと=労働=だから500円もらえる
という図式が刷り込まれてしまったのですね。
スポーツの世界でも同じことを言っている親がいました。
「今度の大会で優勝したらご褒美に○○してあげると言われて喜ぶのは、取り組んでいるスポーツを1番だと思っていない証拠」
「優勝した事実こそが一番のご褒美のはずなのに、それ以外のものを用意するなんておかしい」
言われてみればそうですね。
ご褒美のために我慢して頑張るっていうのは、報酬のために労働するという考えと似ています。
以上のことから、ご褒美で釣るのは「勉強自体を面白くないもの」と刷り込んでいるようなものなので、ご褒美で釣る作戦は間違いである。
これが、ご褒美否定派の主張です。
でも、現実に「すでに勉強は面白くないもの」と認識してしまっている子のやる気を出させるには、ご褒美で釣るしかないというのがご褒美を出してしまう親の心理でしょう。
ご褒美がなくても取り掛かるのなら苦労はしない。でも、取り掛かるための原動力としてご褒美をあげることもだめなのかと。
スポーツであれば、ご褒美なしでテニスをやらせて、駄目なら今度はサッカーをやらせて、それも駄目ならバドミントンをやらせて……というふうに、ご褒美なしでも楽しめるスポーツに出会うまでいろいろ挑戦させればいいのですが、勉強の場合はそうもいきません。
体の小さな子に「スポーツは相撲しかないから、それで頑張るしかない。やめることも、逃げることも駄目」と言っているようなものかもしれません。
得手不得手に関わらず、飛び込ませざるを得ない勉強の世界なのだから、不得手な子には特にご褒美は必要ということもあるでしょう。
ご褒美をあげても勉強自体を好きになることはないとしても、やらせないといけないのが高校進学率ほぼ100%の現代です。
ご褒美抜きで好きにさせるというのは一部の学生にだけしか通用しないような理想論にしか聞こえません。
子どもが引き込まれるのは、楽しそうにしている親を見たときでしょう。
親が好んで勉強している家庭なら、子もそうなると思います。
親が好んでバスケをしていたら、子もバスケ好きになります。
親が付き合いで嫌々ながらママさんバレーなどをやっていたら、それを見た子はバレーには惹かれないでしょう。
子は楽しそうな親のしていることを真似するのです。
そう考えた時、自分は「自分が好きではないことを、子に押し付けようとしているのではないか」と考えてみることが大切です。
結局、一番大切だと思うのは、ご褒美をあげるかあげないかではなく、その子にとって何が一番良いのかを考えること、そしてそれを実行することだと思います。
その上で、ご褒美をあげるという選択肢を選ぶなら、それが正解だと思います。
考え抜いた上で、自信を持って子育てしましょう。
半分以上、自分に言い聞かせた記事でしたm(_ _)m
最後に英語でご褒美を何ていうのかを調べたら、こんなのが見つかりました。
reward myself
reward myselfはよく目にする表現ですが、
「頑張ったから、ご褒美としてもっと自分を甘やかしてもいい!」
そんな意味でご褒美を使う時は、spoilがおすすめです。I should spoil myself!
自分にご褒美あげなくちゃ!
このspoilという動詞の意味を調べてみると…
(…を)役に立たなくする、台なしにする、腐らせる、そぐ、性格をだめにする、過度に甘やかす、大サービスする、満足できなくする
「甘やかす」と「駄目にする」が同じ単語のようです。
ご褒美はあげないのほうがいいのかも(笑)