この前の記事の答え合わせです。
近くにお子様がいたら、問題を出してみてください。 中学2年生の社会の問題です。 1.室町時代になると、産業や流通が発達し、交通のさかんなところでは( )とよばれる運送業者が活躍した。 ア 惣(そう[…]
中学2年生の社会の問題です。
1.室町時代になると、産業や流通が発達し、交通のさかんなところでは( )とよばれる運送業者が活躍した。
ア 惣(そう) イ 土倉(どそう) ウ 馬借(ばしゃく) エ 酒屋(さかや)
この問題は簡単かと思いきや、アの惣を選ぶ子が多かったです。
選んだ理由はなんだかわかりますか?
保護者の方も、聞いてみてください。
「なんとなく」
そう答えますから。
そうなんです。なんとなく惣と答えてしまうんです。
なんとなく聞いたことがあるなー程度で選んでしまうんです。
でも見てください。問題文に「交通の盛んなところ」と書いてあるんですよ。
室町時代ですから、もちろん自動車があるわけないので、当時の交通といえば「馬」でしょう。
この時点で答えは1つじゃありませんか?
そうです。答えはウの馬借です。
これって、馬借が何なのかを知らなかったとしても、答えられる気がしませんか?
それなのに、アと答えてしまう人が続出するんです。
誤答で一番多いのがEUです。
そういう子は、まったく考えてません。
とりあえず知っている語句を書いただけです。
EUのEはヨーロッパのEだと考えれば、東南アジアの話にEUは出てこないなとわかるでしょう。
その思考すらしないということです。(T_T)
東南アジアを英語でいうとSouthEast Asiaです。
SEAが入る語句といえば……ASEAN!!
これくらいの連想で正解できちゃうんです。
ということで、答えはASEANです。
でも、中学生はできないのです。(T_T)
なぜなら東南アジアを英語で言えないから。
「東」「南」「アジア」のせめて頭文字でも分かれば良いんですけれど……
さすがにアジアはAだなっていうのはわかります。
でも「東」と「南」を英語でパッと言えないんです。
本当ですよ!確かめてください。
大人にとっては当たり前でも中学生には当たり前じゃないんです。
だから「東南アジア諸国連合」だからASEANでしょ、っていう理論は通じないし、東はEast、南はSouthという単語が頭に入っていないから、ピンとこないのです。
ちなみにASEANは「Association of Southeast Asian Nations」でASEANです。
ここでAssociationってどんな意味?と疑問に思って調べるのであれば先は明るいです。
でも、ふーんで聞き流す子は要注意!
その姿勢では皆が覚えられる語句も覚えられませんよ!!
3.アマゾン川の流域で深刻化している環境問題は何か。
ア 砂漠化 イ 熱帯雨林の破壊 ウ 酸性雨 エ 地球温暖化
正解はもちろんイ
森林破壊については小学生の頃に教わっているはず。
さらに国語の教材としても出てきますよね。
毎年サッカーコート何個分とか東京ドーム何個分の森林がなくなっているといった具合に。
そして、生徒達がイ以外を選ぶ理由はここでも「なんとなく」なんです。(T_T)
さらに「アマゾン川がどこにあるのか」を知らないという現実……。
そりゃ熱帯雨林という言葉にピンと来ませんよ(T_T)
大人にとっての当たり前が、子どもにとってさらに当たり前じゃなくなってきてしまった理由を考察したので、後日記事にしますね。
中2理科
4.次の( )にあてはまる言葉を書きなさい。
化学変化によって、原子はそれ以上に分割( )。
誤答は「放射線」
なんじゃそりゃ?!
理由を聞いてみたら「タブレットで検索したら、そう出てきた」と。
これが私がネットでの検索を禁止したくなる原因です。
中学生なら教科書から探すべきです。
ネットではやたら難しい用語が飛び交っていて、例えば徳川綱吉を検索したら「生類憐れみの令」以外のものすごく細かい内容もヒットするんです。
そして中学生は、その中から必要な語句を見つけられないんです。
結果、分割放射線という解答になってしまうという(T_T)
これはそんな難しい言葉じゃなて「原子はそれ以上に分割(されない)」が正解ですから!
文脈をちゃんと捉えてください。頼みますよ〜(T_T)
中2数学
問題文を読まずにいきなりxの角度を出そうとして人はいませんか?
これは正誤問題ですよ。
上図の∠xは296°である。という文が正しいのか、誤りなのかの2択問題ですからね。
答えは誤です。
実はこの問題は普通の角度を求める問題なんですけれど、角度が求められないということを言いたくて取り上げたんじゃないんです。
取り上げた理由は「出した答えを疑わないから誤りに気づかない」ということに気づいてほしいからです。
計算して答えが296と出た。数字は間違っていますが、答えを出しただけ良しとしましょう。
そして、これをそのまま解答用紙に書いちゃうのがまずいと言っているのです。
欠けているのは「検算の意識」です。
296度であっているかな?
図をもう一度見てください。
296度ってかなり大きな角度ですよ〜?
一直線が180度ですから、それよりも大きい角度のはず。
で、図を見てみると……
これ絶対に296度じゃないでしょ!
もちろん図だけでは判断できませんが、ある程度目安にはなります。
とりあえず「296度っておかしくない?」と考えるきっかけにはなります。
それがあれば、もう一度計算して……となるんですが。
図形の場合は、解き方がわかってないといくら計算しなおしてもバツになっちゃいます。
296という数字は、書かれている数字を全部足したもの。
何度計算しても296ですからね。
でも、実際は違います。
なので、今回のミスにより「出した解答を疑っていないこと」と「そもそもの求め方がわかっていないこと」がわかります。
こうやって皆の弱点を見つけて、指示を出してるんですね〜。
以上、ここまで読んでくださった保護者様、どう思いますか?
「なんとなく」「知識不足」「知ろうとする意欲不足」「確認不足」
共通点は「脳をできるだけ使わないようにしようとしている」ということです。
これが、成績を伸ばす上での最大の敵だと思っています。
脳を使うことを避けてばかりでは、脳を使う勉強に不利なのは言うまでもありません。
「考えることが楽しい」という状態にならないと、勉強に向かうことが難しいんです。
じゃあ、どうしたら考えるようになるか。
結局、ちまたで言われているコミュニケーションにたどり着きます。
会話の中で「なんで」と問いかけ、思考させる。
中学生になった今では遅いって?
そりゃー、幼い頃からそれをされてきた子よりは遅いです。
でも、その子のこれからの人生の中で一番若いのが今日です。
今からでも「なんで」と問いかけてください。
反抗期もあいまって、たぶん、ものすごくうっとおしがられると思います(T_T)
でも、やるしかありません。
今やらなくても、いつかは必要になります。
そのいつかは高校生になってからかもしれません。
社会人になってからかもしれません。
社会人になって上司から「なんでお前はそんなことも考えられないんだ」と言われるよりは、今親に言われた方がいいと思います。
「なんで」という問いかけを繰り返せば「AだからB」の論理的思考が育っていきます。
そこで、そもそもの考える力が育っていないと、その途中で「なんでも!そうだから、そうなの!」と感情で押し通そうとしてくるでしょう。
でも、それで押し通せるのは学生時代まで。
対大人(親以外)相手では通じません。
実は勉強って、そういう生きるために必要な力を学んでいるんですね〜。
表に出てこないだけで。
表に出るのは「点数」という数字だけ。
でも、その裏には「考える力が育っているか」が隠れています。
断言します。
脳に負荷をかけることなくして、成長はありません。
保護者様ができることは「なんで?」と問いかけること。
ときには喧嘩になることもあるでしょう。
それも悪くはありませんが、お困りのときはご相談ください。