2学期期末テストが目前に迫り、社会の追い込みに入っている3年生達。
今は公民ですね。
なかなか覚えられないと嘆いています。
大人には結構簡単です。
選挙だって、実際に行った経験があるので、用語もなんとなくわかりますからね。
衆議院と参議院のそれぞれの任期は?と言われても、パッと出てこないかもしれませんが、でも言われれば「あー、そういわれれば」となると思います。
中学生にはその経験がないので難しいのです。
「にんき」と言うと「任期」よりも「人気」の方が先に脳内で変換されるはずです。
「衆議院議員の任期は4年で、参議院議員の任期は6年」と聞いたときは、
「へー、参議院のほうが人気が長く続くのね〜。タレント議員が多いらしいから、人気あるのかな」
なんて、変な変換をしてしまったことでしょう。
オーストラリアなら英語圏だから、まだなんとかなりそうです。
でも、スペイン語を使うコロンビアに行くと、さっぱりわかりません。
大人にとっての公民はオーストラリアに行くようなもので、中学生にとっての公民はコロンビアに行くようなもの。
そう考えると用語を覚えるのも一苦労なのも理解できます。
いきなりですが問題です。
次の( )に入る語を答えなさい。
最高裁判所は、法律が憲法に違反していないかどうかを審査する権利の最終決定権を持っていることから、( )と呼ばれている。
わかりますか?
忘れている大人の方も、答えを聞けば「あー」ってなるはずです。
答えは……
「憲法の番人」でした。
一度、聞けばもう大丈夫でしょう。
でもこれは「番人」の意味をわかっているからです。
番人という言葉にピンと来ない子には、意味不明なのです。
実際にお子さんに聞いてみてください。
そして、教えるときも苦労します。
「○○の番人」っていう具体例を示したいとき、○○に入る言葉思いつきますか?
ね?出てこないでしょ。
「ほら、なんかよく番人って言うじゃん!」って無理に通そうと思っても、番人という言葉が刻まれていない子には伝わりません。
言われてみれば確かに番人ってあんまり日常で使いませんよね。
番人は留守番する人、って言えばわかりますかね。
守る人っていう感じです。
他にも見張る人っていう意味もあります。
憲法の番人だったら、憲法が守られているかどうかを見張ったり、憲法そのものを守ったりするっていうイメージですね。
このように、その子の中に言葉が入ってないと、すんなり理解できないのです。
大人からしたら、当たり前だと思う言葉がなかなか覚えられない理由はそこにあります。
同時期に習う「違憲立法審査権」も、大人からすればその名の通りです。
でも中学生には「いけん」と聞くと「意見」が脳内変換されてしまうんです。
とくに用語を漢字で覚えず、テストはひらがなで乗り切っている子は要注意です。
正しく覚えられないのは、正しい漢字に変換できないところから来ているのです。
漢字や計算といった、基礎の基礎はこういうところで効いているんですね。
理科の「水上置換法」とかも、水の上部を出てきた気体と置き換える方法だから、水上置換法。
「ちかん」を「痴漢」に脳内変換してニヤニヤしている場合じゃありませんよ!
本来、用語は覚えやすい名前がついているのです。
「憲法に違反するような法律が立てられてないかを審査する権利」なんて言うのが長くて面倒だから、違憲立法審査権。
そう思えないうちは、まだまだ用語覚えに苦労するはず。
まずは日常生活でできるだけ多くの漢字に触れることからですね。