この子は素質がある。
いろんな分野で、そう思わせる子がいて、そう思う大人がいます。
大人はどうやって素質を見抜いているのでしょうか。
イメージしやすいように、テニスで例えましょう。
テニスの素質があると思う理由は2つ。
1つはもちろん、他の子よりも上手にやっていること。
ラケットを渡されて、ボールを打ち返してみてって言いわれてやってみたら一回で成功しちゃう子を見れば、誰でも「この子は素質がある」と思うでしょう。
こんなふうに、上手にできることが素質ありと思われる理由です。
もう1つは、できなかったときの言動で判断するのです。
最初はボールを打ち返せなかった。
2回目も、3回目も、4回目も……。
このとき、「もうやだ!できない!つまらない!」と言うのか「もう1回挑戦する!」と言うのか。
何度も何度も挑戦する姿を見た時も、素質ありと思います。
1つ目の、他の子よりうまく出来てる子というのは誰の目にもとまります。
2つ目は、その子をよく見ている身近な人じゃないとなかなか気づけません。
この2つ目について話をします。
素質の有無を見抜こうとする人は「気持ち」や「精神力」を見ます。
それは行動に現れるので、行動を見ていればわかります。
さらに、その素質判断は一瞬のほんのちょっとの時間です。
一番わかりやすいのが「うまく行かなかったときのその子の反応を見る」ことです。
うまく行かなかったときに、燃えるのか諦めるのか。
ここを見てるんですね。
うまく行けば誰だって調子に乗って、次へ次へと進みます。
でも、うまく行かなかった時はそうではありません。
うまく行かなかった時にこそ、次へ進もうとする気持ちがあるかどうか。
それがあれば素質あり、なければ素質なしです。
テニスの試合で負けたときヘラヘラしている子と悔しくて泣いている子、どちらが素質があるかわかるでしょう?
気持ちが行動に表れているからです。
試合に勝つための練習を発表して、その練習量がものすごく多くて大変そうだったとき……
「えー、これやるの~」と嘆き節の子と「よし!やってみよう!」と目を輝かせる子、どちらが素質があるかわかるでしょう?
実際に練習している姿を目にしていなくても、そのほんの一瞬のリアクションで素質がわかるのです。
これを勉強に置き換えれば、自分に勉強の素質があるかないかわかりますよね。
「これだけの量をやりなさい」と言われて、嘆く人と喜ぶ人。
おそらく大半の中学生は嘆くはずです。
今までの話に照らし合わせて素質の有無で言うと、残念ながら素質がないということになります。
でも、そこで終わるわけではありませんよ。
だって、人は変われるのですから。
さっきも言いましたね?
「実際に練習している姿を目にしなくてもリアクションでわかる」と。
行動ではなく、心の持ちようを変えればいいのです。
気持ちは一瞬で変えられます。
体は一瞬で変えられませんけれど、心は変えられます。
簡単そうで難しいんですけどね……。
でも、できるんです。
たぶん、たくさんの量の課題を出されたら「えー」と反射的に言いたくなると思いますが、それをぐっとこらえて「よし!」と言ってみる。
そうやって、自分で自分に暗示をかけるのです。
最初は「素質ある子のフリ」で構いません。
これは勉強に限ったことではなく、どんな場面でも使える能力です。
部活で素質ある子のフリをすれば、先輩や顧問の先生から好かれます。
仕事で素質ある子のフリをすれば、同僚や上司から頼られ好かれます。
人は素質ある子を応援したくなるのです。
それはつまり、素質ある子を好きになるのが人間ということです。
素質の有無の判断は、一瞬のリアクション。
そこを変えるように意識してみてください。
皆が皆に好かれてハッピーになる未来を楽しみにしています。