大ヒットしたもののけ姫のメイキングビデオ「もののけ姫はこうして生まれた」の中で、宮崎駿監督が「虫にカメラを付けて見ると面白いだろうな」というようなことを言っていた記憶があります。それを聞いて、確かにそうだと思い、ハエにつけたカメラの映像を想像したので覚えています。なぜハエかって、そりゃあのスピードで飛び回って、いろんなものを避けていくのだからさぞかしスリリングな映像になるだろうと思ったからです。
この話を思い出したのは、この前、田んぼの農薬をまく空中散布をドローンでやっているのを見たからです。以前はヘリコプターでやってましたが、大型であるためどうしても大雑把になってしまうんですよね。そこに登場したのがドローン。ラジコンみたいに飛ばして、狭いエリアも難なく空中散布します。
ドローンはこんなにも身近になり、小型化もされ、誰でも手に入れられる時代です。そのドローンで世界一周の映像を録画してみたら、面白いんじゃないかと思いました。イメージはドラゴンボールです。孫悟空たちは舞空術で空を飛びますが、あの視点で世界が見られたら面白そうですよね。
そこからいろいろ考え出しました。まずカメラをボールに入れて投げたって、100mも飛びません。速さも時速100kmなんて出せません。地球一周を4万kmとすると、100mなんてゼロに等しい数字です。仮に手で100m飛ばせたとして、地球一周するには40万回ボールを投げないと行けません。
4万km=40,000km=40,000,000m
1km=1000mだから0.1km=100m
0,1km × 40万 = 4万km
という計算で、40万という数字が出てきました。さすがにこれは無理なので、機械を使いましょう。
ドローンみたいなのを使うとして、どれくらいのスピードが必要でしょうか。
理想は1時間くらいで地球を1周してもらいたいのですけれど…。ちょっと計算してみましょう。
まず、音の速さは空気中では340m/sです。1秒間に340m進む速さですね。
秒速だとピンとこないので、これを分速→時速と変換していきます。
340m/sで1分間進むと20.4kmも進めるんですね。直線距離で考えると明野町からつくば駅くらいですね。そこまで1分ってものすごい速さです。
これを時速にしましょう。
秒速340m(分速20.4km)の速さで1時間進むと、1,224km先に行けます。明野町からなら、北は北海道、西は韓国の大部分まで行けちゃいます。でも沖縄は行けなそう…。
1時間でそこまで行ける速さが、音の速さ340m/sです。いわゆる音速というものですね。時速にすると1,224km/hです。この音速をマッハ1と呼びます。
ではこのマッハ1で地球を1周するのに、どれくらい時間がかかるのでしょうか。
速さは1,224km/h、距離は40,000kmで、今求めたいのは時間ですから、距離÷速さで求められますね。
32時間かかるんですね。マッハ1で丸一日飛び続けても一周できません。さすがに32時間カメラを回し続けても、32時間見続けるのは大変ですよね。
1時間の映像にしたいので、時間を32分の1にしたいわけです。時間を短くするということは、逆に速さを速くするということ。つまり、速さは32倍にすればいいわけです。
マッハ1の32倍です。
現在の最先端の戦闘機でもマッハ2くらいだそうです。あまり速さを求めすぎても、部品の摩耗や消費燃料が大きくなるので現実的ではないとのこと。たしかに、それだけのコストや労力をかけてまでして、地球の裏側に30分で行く意味はありませんもんね。テレビ電話でいいじゃんって言われそうですし。1時間かけて一周したって、1時間後には、その間動かなかった人と同じ位置になりますしね。なんのための1周かよくわかりません。
ということで、マッハ32なんてまず無理な話です。その速さに耐えられる素材なんてなさそうですしね。未来の人類に期待しましょう。現代人は諦めて、マッハ1で32時間かけて地球を一周して、その動画を32倍速にして1時間に収めることにしましょう。
マッハ32に比べるとだいぶ現実的に聞こえますけれど、マッハ1の速さで物体を動かすって一体どうすれば……
ということを、考えてました。答えは出てません。誰か、この続きをお願いします!
もののけ姫の後、借りぐらしのアリエッティができたのも、虫の視点の面白さに気づいた宮崎駿監督ならではなのかもしれませんね。
あれは原作があるんでしたっけ?まぁ、いいです。
こうやって勉強を身近なものに結びつけるのも面白いと私は思いますが、皆さんはどうでしょう?
計算が入ったとたんに読み飛ばしたりしてませんかね?
「走れメロスは走っていなかった」という説を発表した中学生がいましたが、今日の記事のような思考回路で検証したんでしょうね。
知的な面白さにも気づけると、人生の豊かさが増えるのでおすすめです。