「どこでもいい」と言わないで

「うちには跡取り息子がいないから、お婿さんをもらわないといけないよ」

親が娘に放ったその言葉は、呪いの鎖となってその娘を苦しめることになるでしょう。

 

そんな制約があるせいで、その娘は結婚するタイミングを逃し、結果その家の跡取りは誰もいなくなる。

 

こんなことは現代の親は望みません。

現代のたいていの親は子に「自分の好きな人と結ばれなさい」と伝えるでしょう。

 

こんな風に、親が子どもを縛るのはよくないという考えがあるため、逆に子どもに自由を与えすぎてしまうこともあります。

 

それが「お前の行きたい高校に行きなさい」という言葉です。

 

 

 

「行きたいところに行きなさい」の落とし穴

 

一見、その台詞を言ってくれる親は良い親に見えます。

理解力があり、懐が深い。

こんな親を持ったAさんがいるとします。

 

 

Aさんの友人のBさんの親は真逆で「水戸一高以外は駄目。私立にも行かせない」と、事あるごとに水戸一高合格を押し付けてきます。

 

BさんはAさんを羨むでしょう。

「自分の行きたいところを自由に選べるなんて恵まれてる」と。

 

 

 

どちらが正解というわけではありませんが、一般的にはBさんの親は批判されがちだと思います。

自分の考えを子どもに押し付けてる感じがするからです。

 

 

 

私は10年以上塾講師をしてきて、いろんな生徒と親を見てきました。

学力が高いのはBさんタイプです。

実際に統計をとったわけではないので、感覚的なものですけれど。

 

 

 

「幸せかどうか」という尺度であれば、AさんBさんのどちらかは答えは出せません。

 

 

しかし尺度を「学力を上げやすい方」というものにするなら、Bさんです。

選択の自由がない、制約に縛らせたBさんの方が学力が上げやすいです。

 

 

なぜなら、危機感を持ちやすいから。

 

 

 

絶対に水戸一と言われ育ってきたBさんは、水戸一を落ちることは想像できません。

もし落ちてしまったら、水戸一合格にとりつかれた親がどんな態度になるのか、考えただけでも恐ろしくなります。

だから、本気で勉強します。

 

 

 

選択の自由がない分、迷うこともありません。

水戸一合格しか道がないのだから、その道を歩むしかないのです。

だから、勉強にとりかかるのも他の子より早くなります。

 

 

 

対して、行きたいところに行きなさいと言われたAさんはどうでしょう。

もちろん、行きたいところが水戸一であれば頑張るでしょう。

そうやって自ら高い目標を持ち、自動的に努力できる子であれば、Aさんの親の姿勢は正解です。

 

 

 

でも、そんな中学生は学校に1人いれば良いほうでしょう。

99%以上の中学生は「行きたいところに行け」と言われたら「絶対に水戸一」と言われるよりも気が緩むでしょう。

結局、学力が伸びずに、志望校を下げたとしても、そこを「行きたいところ」と言えば、それで許されてしまうからです。

 

 

 

そんな保険があるAさんはBさんと同じくらい真剣にはなれません。

これが危機感のなさに繋がります。

 

 

 

そして、Aさんの親のような「行きたいところに行きなさい」という保護者は結構います。

私だって、自分の娘が受験生になったらそう言ってしまうでしょう。

 

 

 

そんなAさんの親タイプの保護者様に問います。

 

 

本当に、本気で、そう思っていますか?

 

 

「行きたいところに行け」と言いながら、子どもが「○○高校行きたい」と言った時……、その○○高校が不良のたまり場だったり、県外で寮生活が必要だったり、私立高校であっても「もちろん、お前が行きたいんだったら、良いよ!」と言えますか?

 

 

おそらく、言えないと思います。

「行きたいところに行きなさい」と言いつつも、本当は親自身が「我が子にはあの高校に行ってほしい」とか「あのレベル以下の高校には行かせたくない」という思いを抱いているのではでしょうか。

 

 

 

口先では耳障りの良いことを言っておきながら、腹の中では別のことを考えていたりしませんか?

 

 

 

そもそも子どもを塾に通わせる保護者は、自分自身も望んでいることがあるはずです。

本当にどこの高校に行っても良い、高校に行かなくてもいいと思うくらいであれば、塾に通わせないでしょう。

 

 

「子どもが『○○高校行きたいけど、学力が足りないから塾に行きたい』というので通わせました」という場合でも、親自身も少なからず「子どもに○○高校に行ってもらいたい」と思っているでしょう。

それは、行きたいところに行かせてあげたいという親心から来るのかもしれません。とにかく親自身も「○○高校合格」を期待しているはずです。

 

 

 

 

私がお願いしたいこと

 

私がお願いしたいのはここです。

保護者様自身も、子どもに行ってほしい高校があるのであれば、それをちゃんと生徒さんに伝えていただきたいと言うことです。

 

 

 

例えば、親は水戸一に行ってほしい、でも子どもは二高で部活をやりたい、という場合。

親は子に「お前が二高に行きたいのなら、そこに行きなさい」と認めるはオーケーです。

でもその後に「私はお前に水戸一に行ってもらいたいと思ってる」という言葉を付け足してほしいのです。

 

 

 

「どこでもいい」と言って、子どもに選択権を与えたままの状態にしないでほしいのです。

なぜなら、選択権がない方が危機感を持って勉強するし、伸びるからです。

 

 

 

選択権がある子どもは「じゃあ、二高志望ってことで!」と言って、そのまま勉強せずに成績が下がり、そのうち二高もいけなくなり、志望校を下げ、さらに勉強しないというスパイラルにおちいりやすいのです。

これが「行きたいところに行きなさい」の落とし穴です。

その台詞を言うのは、子どもの意見を尊重する良い親に見えますが、逆に成長を阻害している恐れがあります。

 

 

 

止める方法は、親の一言です。

「私はお前に一高に行ってほしい」

 

 

 

この鎖でがんじがらめになって、プレッシャーに押しつぶされてしまうパターンもゼロではありませんでした。

でも、たいていは、子が奮起してくれます。

親が言う「水戸一高以外は駄目」という言葉は、意地悪で言っているわけではなく、自分のためを思って言ってくれてるんだと気づくからです。

 

 

 

「行きたいところに行きなさい」と言って、子どもの学力向上するための方法や子どもの将来を真剣に考えることから避けていませんか?

 

 

本気で将来を考えた上での発言であれば構いません。

でも、そうでないのなら、これから高校受験までの間、「行きたいところに行け」という台詞は封じて欲しいのです。

 

 

 

とはいえ、生徒さんたちには個性があるので、「行きたいところに行け」と言ったほうがモチベーションが上がるとか「水戸一高に行け」と決めつけられたらモチベーションが下がるとか、いろいろあると思います。

そこは私よりも、保護者様のほうがよく知っていらっしゃると思うので、保護者様の思うように接していただければと思います。

 

 

 

また、高校のことばかりではなく「お前には明野中で10位以内に入ってほしい」というような具体的な数値も有効です。

さらに、その数値の理由まできちんと言えるのであれば、子どもも理解してくれる確率がぐんと上がります。

 

 

 

「子どもの成績次第!出たとこ勝負!」ではなく、ちゃんと考えて、そしてそれを子どもに伝えてほしいのです。

普段の生活のなかで、そういうことを言うのってちょっと恥ずかしかったりするかもしれませんが…。

家族会議を設けて、真剣に話し合ってほしいのです。

 

 

 

我が子にどんな言葉をかけるのが学力向上につながるのか、ということを考えるきっかけになればと思い、記事にさせていただきました。

 

 

 

中学生になるまで立派に育てあげた保護者様に向かって偉そうに言えるような立場ではございませんが、預かった生徒さんたちの学力を上げるにはどうしても保護者様のお力添えが必要になるため、お願いさせていただきました。

 

 

私は、勉強という技術的な部分であれば教えられます。

でも、心の部分は保護者様には敵いません。

 

 

私は「この成績だと、不合格だった例が3件あるよ」といった客観的なデータで危機感をあおることならできます。

でも、最後の踏ん張りの部分は本人や家族の力が大きいのです。

 

 

馬を水辺につれていけても水を飲ませることはできない

こんなことわざがあります。

 

 

私は生徒さんに「これを、これだけやれば成績が上がる」というサービスを目の前に出すことはできますが、それを実践させるためのひと押しは家族の応援だと思います。

「水を飲もう」とか「水辺があったら水を飲んでやる」とかの欲望や感情の部分は家族の中で育まれると思うのです。

 

 

ですので、今後もこういった保護者様へのお願いがあると思いますが、お付き合いいただければと思います。

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