私は食事を残してしまったら、なんだか悪いことをした気になってしまいます。それはきっと日本で生まれ育ったからでしょう。
このままずっと日本を出なければ、その価値観しか知らずに生きていくことになります。もし、パートナーが外国人で、お互い違った価値観を持ったまま生活することになったら、どうなるでしょう。
中国では「少し残すことが善しとされる」と知りました。これがどれくらい浸透してるのかはわかりませんけれど、中国に旅行する前に調べたときに知ったマナーです。
理由を知ると納得です。日本人は「作ってくれた人に感謝。食材にも感謝。食べ残すのはどちらにも失礼」という感じですよね。それに対して中国では「全部食べる=量が足りなかった。少し残す=もう食べられないくらい食べて満足した」という考えなんだそうです。
だから、少し残すと作ってくれた人(もてなしてくれた人)に対して満足の意志を示すことになるということです。言われてみれば、そういう風に考える事もできそうですね。
食事を少し残すという客観的な事実も、解釈によって良くも悪くもなるということです。
これは国レベルの文化の違いや個人レベルの価値観の違いからくるものです。そういう違いを認められないと、誤解もすれ違いも避けられません。
日本人にとっては結構自然な「麺類を音を立ててすする」というのも欧米人はできません。やってはいけないこととして育てられているからです。
それにもかかわらず、日本に来た外国人に対し「これが日本の食べ方だから」といって、相手に強要すると、不快な思いをさせることになります。音を立ててすすることは多分できるのでしょうけれど、やりたくないのです。
例えば、ある地域で「相手におしっこをかけるのが仲良くなる儀式」みたいなのがあったとして、そこに行ったとしても、そんなことは絶対にしてはいけないと育ってきたに人にとっては、その儀式をするのは嫌ですよね。
でもその地域の人達はするのです。それをして喜ぶのです。その姿を見て「あいつら変。頭おかしい」なんていうのはグローバル社会ではナンセンスです。一夫多妻制の国に言って「不倫するな」と主張しても、その国ではそう主張してる人がおかしいと言われてしまいます。
さすがにどんな国やどんな地域であっても「人を殺してはいけない」と言ったような絶対的なものはあるとは思いますが……。でも、それ以外のことだと、大抵OKな地域がありそうな気がします。
例えば先程例に出した不倫も「不倫?よくないの?なんで?たくさん好かれた方がいいじゃん。子孫もたくさん作れるし」という地域はあるでしょう。だから、不倫が駄目っていうのは全世界共通ではない気がします。
著作権の侵害も、先進国ではコピーは駄目となっていますが、世界には「コピーできる技術があるってのは良いことだ。それに、良いものはコピーされるべきだ」なんていう国もあると思いますし。栃木県のイチゴの品種が勝手に海外で生産販売されているという記事を見ましたが、それも同じようなものだと思います。
コピーしてる側には「こんな美味しいものなんだから、コピーして、食べられる人が1人でも増えた方がハッピーな世界になるでしょ」なんて理論があるのかもしれません。
他にも私が驚いたのが「ワールドカップなどの日本人の観客の後片付けが世界を驚かせた」という記事。ゴミを拾うというのは日本人にとっては当たり前ですが外国人には新鮮に映るようですね。もしゴミを拾わない外国人を見たら、日本人は「なんで拾わないの?人として良くない」と思ってしまいます。
でも、彼らには彼らなりの考えがあります。それは「ゴミを拾うのは、それを仕事としている人がやるもの。勝手にゴミを拾ったら、その人達の仕事を奪うことになるからしない」というものです。
自分の子供がそんなことを言ったら「屁理屈言うな」と言ってひっぱたいてしまいそうですけれど(笑)。人の仕事を奪わないという考え方も一理あるなと思います。こういう考えも知っておかないと、「あの外国人は目の前のゴミを拾わないで、ほんと気が利かないねぇ」なんて陰口を叩くはめになります。
気が利く、効かないの問題ではないんですね。これが文化の違いというやつです。
こんな風に、海外に目を向けると、今までの価値観が大きく揺らぎ、何が本当に良いのかと考えることも出てきます。
その入口になるのが言語の学習だったり、旅行だったりするんですね。そういうきっかけで、いろいろ調べて学んでいくうちに、いろんな価値観を知り、相手を理解することに繋がります。
例えば中国語の勉強にハマって、中国のドラマや映画を見るようになったら、そこで文化を知るかもしれませんしね。韓国人の俳優にハマって、韓国語を勉強するという順番かもしれません。順番はともかく、言語の勉強はその言語を話す人の根っこの部分を知ることに繋がります。
そう考えると、英語の勉強も悪くありませんよね。ということで、これからも励みましょう。