中学3年生になると社会の公民で税金について学びます。そのときでもまだ難しく感じると思いますが、私が税金の勉強をしていて「これ考えた人凄い!」と思ったものがあるので紹介します。
税金にはいろいろ種類がありますが「所得税」についてのお話。
所得とは「もうけ」のことです。言い換えれば「手に入れたお金」ですね。その手に入れたお金に対して税金がかかります。これが「所得税」です。
例えば、自分の絵画を100万円で売ったら、100万円まるまる手に入れられるわけではありません。のちに所得税を納めなければいけないからです。売れた日にパーッと100万円を使ってしまうと所得税が払えなくなって借金する羽目になります。
「お金を手に入れたら、ちょっとだけ税金として納めて」と国が言ってきます。さらに「あなたの絵が5万円で売れたら、そのうちの5%つまり2500円だけでいいから」と言います。
そして「お金をたくさん手に入れたら、税金を増やしてもいいよね?」と国が言います。
「あなたの絵が150万円で売れたら、その5%ね。そのときは150万×0.05で7万5000円を税金として払ってね。それでもあなたには142万5000円残るからいいでしょう?」
「もし、300万円で売れたら、その10%が税金ね。300万×0.1で30万円を税金として納めてね。それでもあなたには270万円残るからいいでしょう?」
こうやって、手に入れたお金が増えると税金も増えていく方式を累進課税といいます。
この割合は5%〜45%まであるのですが、それぞれある金額で線引きされます。
195万円以下は5%
195万円超〜330万円以下は10%
330万円超〜695万円以下は20%
といった具合です。
しかし、このまま計算すると次のような問題が発生します。
例えば、絵を330万円で売ったら所得税はその10%ですので、330万×0.1で33万円が所得税です。税金を引くと手元に残るのは297万円です。
絵を331万円で売ったら所得税はその20%ですので、331万×0.2で66万2000円が所得税です。税金を引くと手元に残るのは264万8000円です。
1万円高く売ったのだから1万円多く手に入ると思いきや、税金を払うと32万2000円も手元に残る金額が減ってしまいます。
ある金額で線引するとこういうことが起きてしまいます。それを避けるにはもっと細かく1%刻みで上げていくなどの方法も考えられますが、5%〜45%までを刻むと41段階になってしまうので、細かすぎて計算が面倒です。
そこで生み出されたのが「控除額」というもの。「控除」というのは除くという漢字がありますね。そのまま除くという意味でとらえてくれれば大丈夫です。
さっきの例の330万円で絵を売った場合に戻ると、税金は33万円でしたね。でも実際は9万7500円は控除されます。
「計算では税金は33万円ってことになったけど、そのうち9万7500円はなかったことにしていいよ。つまり、税金は33万ー9万7500円で23万2500円でいいよ」となります。
税率が20%のときの控除額は42万7500円ですので、331万円で絵を売ったときの話に戻ると「計算上は66万2000円が税金ってことになるけど、そこから42万7500円は除いていいよ。つまり税金は23万4500円でいいよ」となります。
控除があるおかげで
330万円で売ったときの税金は23万2500円
331万円で売ったときの税金は23万4500円
になるんですね。
控除がないときと比べて、不公平感はなくなったでしょう?
このシステム考えた人、すごいですよね。
ボーダーになる金額や税率、控除額の数値を割り出した人、すごいです。
おそらく数学が苦手な人は、数字が出てきたり、割合がでてきた時点で飛ばしたでしょう(笑)
でも、そうやって飛ばしてしまうと余計な出費があることにすら気付かないかもしれませんよ。
大人になっても勉強は大切です。中学生の皆さんは時間がある今、たくさん勉強してくださいね。