ありがたいもので、3年生が抜けた今も学習塾Lilyには頻繁に足を運んでくれる1,2年生がいるおかげで、賑わいを失うことなく運営できています。
さすがに3年生が抜けた翌日は寂しさを感じました。「3年生は前を向いて自分の道を進んでください。Lilyに席はもうありません。成長には寂しさがつきものです。」とLINEを送りましたが、それは私自身に言い聞かせたようなものです。
センチメンタルになりそうなところでしたが、次から次へと入ってくる新1,2,3年生のおかげですぐに顔を上げることができました。口コミからの入塾が増え、Lilyも軌道に乗ってきたことを実感してきました。すると、こんなを聞かれます。
「中学受験コース(小学生向け)はないのですか?」
Lilyのシステムなり、塾そのものなりを気に入ってくれての発言でしょう。弟や妹、知り合いの小学生に勧めたいと言ってくれているのです。とても嬉しく思います。しかし心苦しいのですが、答えは「ありません」です。
理由はただ一つ。「Lilyには中学受験生を育てるノウハウがないから」です。
私が塾講師になったのは東京でした。その塾は高校受験よりも中学受験の方に力を入れている印象でした。ただ、その塾に限らず東京ではおそらくどこもそんな感じだと思います。半々か6:4、7:3くらいの比率で中学受験寄りの印象です。
そんな土地で塾講師としてチョークを持っていたわけですから、つるかめ算や旅人算、流水算など通常の小学校では習わない特殊な計算を教えることはできます。ただ「教えられる」のであって、お金をいただけるようなプロの授業ができるかというと怪しいです。
この筑西市明野地区では中学受験を希望する生徒が少ないから採算がとれないとか、そういった理由ではありません。私が自分で納得して教えられる器量があれば、生徒が1人であろうとコースを開設します。でも、今はそれがありません。
もし、それでも良いからと言われて中学受験コースを開設してしまったら、最初の1年は「預かった大事な生徒さんで実験する1年」になってしまいます。実験ですので合格はもちろん不合格になっても塾側には得るものがあります。1年分のノウハウです。「この教え方は失敗だった。テキストが良くなかったから来年は変えよう」と軌道修正ができるので塾側にはメリットがありますが、保護者側は大切な我が子をそんな塾に預けようと思いませんよね。
多くの保護者が塾選びの際に実績を重んじるのは、そういう背景があるからだと思います。誰だって自分の子で実験されたくないのです。実験を踏まえてできあがったノウハウのもと、高い成功率で合格できるような塾に預けたいと思うはずです。
また、中学受験はつるかめ算ができるかどうかというより、日常生活の中でいろんな物事を勉強に絡めているかどうかが大きいと思います。机以外で勉強する家庭の子が圧倒的に有利であり、そういう家庭の子が合格するべきだとも私は思っています。塾でつるかめ算を教わって試験をパスするのではなく、普段から考える力を養って合格した方が良いと思うのです。
中学受験は塾講師より家庭の勉強に対する姿勢によって合否が決まりやすいし、むしろそういう部分で決まるべきと私は思っているということです。
こんな考えですので、当面は中学受験コースの設置はありません。
今後、中学受験コースの設置があるとしたら、私自身が納得の行く授業をできるようになるか、中学受験に対する価値観が変わるときです。もしかしたら、それが再来年にはそうなるかもしれませんが、少なくとも2019年度はありませんので、ご理解いただければと思います。
まずは目の前の高校受験。そしてそのために集まってくれた中学生のために全力を尽くす所存です。