漫才師ナイツのDVDに「主は今来て帰る」というタイトルがつけられています。
内容を見てないのでこのタイトルが内容と関係あるのかはわかりませんが、おそらく関係ないでしょう。
芸人の単独公演や独演会といった、いわゆるワンマンライブのタイトルには、ちょっとシャレの利いた言葉が使われることが多いようです。
例えば、お笑いトリオ東京03の第16回単独公演のタイトルは「あるがままの君でいないで」です。普通なら、相手を想って言う場合は「あるがままの君でいて」となりそうなものですが、敢えてその逆を言うあたりに面白さを感じます。
落ち込んでいるときに「あるがままの君でいて」と優しく言ってもらえると思った人も、「あるがままの君でいないで」って言われたら、あるがままじゃダメなんかーい!って思わず突っ込んでしまうような気がします。
そして、ナイツの「主は今来て帰る」。これは何のことだか分かりますか?私もそのタイトルを見て勝手に想像しただけなので、本当のところはわかりませんが……。
この言葉を知るにはまず「主は来ませり」という言葉を知らないといけません。有名な歌の歌詞ですが、なんでしょう。
イントロドン!
♪ターンタータターン、タ、ターンターンターン、タ・ターン、タ・ターン、タ・ターン♪
分かりましたか?ヒントはクリスマスの時期によく聴く曲です。
Joy to the world!で歌い始める、あの曲です。タイトルはわかりません。Joy to the worldでいいのかな。日本では「諸人(もろびと)こぞりて」という題名です。
諸人(もろびと)こぞりて 迎えまつれ
久しく待ちにし 主は来ませり
主は来ませり 主は、主は来ませり
という歌詞なのですが、ちょっと言い回しが古いので現代語にすると
みんな集まって お迎えしましょう
長い間待った 主(イエス様)はおいでになるよ
主は来るよ 主は 主は来るってよ
といった感じでしょうか。歌ってみると分かりますが「主はきませり」の響きが良くて、やたら頭に残るんですよね。おそらく元気よく歌う幼稚園児もこれを日本語と認識してないと思います。
そんな「主は来ませり」も、ナイツにかかれば「主は今来て帰る」となるわけです。帰っちゃうのかよ!と思わず突っ込んでしまう面白さがあるのですね。
……。
この話はどこまで伝わっているのでしょう。
大半の人は「主は今来て帰る」というタイトルをスルーするでしょう。でも、そういうちょっとした知識があると、ちょっとだけププっと笑える面白さに出会う機会が増えます。大笑いは出来ませんので、悲しい気持ちを吹き飛ばす程の力はありませんが、日常に些細なスパイスを与える程度には役に立ちます。今後はそういう視点で物事を見るのもおすすめです。